ビジネスモデルキャンバスとは?9つの構成要素や作成方法などを解説
2025.07.22
新規事業のビジネスモデルを考える際に、必要な要素や全体像を把握するには、ビジネスモデルを構築する必要があります。
多くの企業で、ビジネスのアイデア出しや意思決定のツールとして、ビジネスモデルキャンバスが採用されています。
今回は、ビジネスモデルキャンバス(BMC)の9つの構成要素や作成方法などを解説します。
ビジネスモデルキャンバス(BMC)とは
ビジネスモデルキャンバスとは、企業が利益を生み出すための仕組みであるビジネスモデルを可視化する設計図のことです。
BMCとも呼ばれています。
2010年に、スイスの起業家アレックス・オスターワルダー氏とローザンヌ大学教授イヴ・ピニュール氏によって、開発されました。
既存事業を成長させるためには、現状を把握し、自社製品の強みと弱みを見出し、改善することが不可欠です。
また、新規事業を成功させるためには、社内外のステークホルダーにビジネスモデルを理解してもらうことが大切です。
ビジネスモデルキャンバスは、新規事業だけでな既存事業にも役立つフレームワークのため、多くの企業で活用されています。
ビジネスモデルキャンバスを作成するメリット
ビジネスモデルキャンバスを作成するメリットを挙げてみましょう。
ビジネスの全体像を把握できる
ビジネスモデルキャンバスを作成すると、ビジネスの全体像を把握できます。
ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスに必要な9つの要素を1枚のシート上に整理するものです。
このことによって、さまざまな要素で構成されている複雑なビジネスをまとめることができ、容易に全体像を把握できます。
関係者との認識合わせがしやすくなる
関係者との認識合わせがしやすくなるメリットもあります。
ビジネスでは、経営陣、現場の従業員、取引先、投資家といった社内外のステークホルダーが関わっています。
事業をスムーズに運営するには、ステークホルダーとコミュニケーションを取ることが欠かせません。
ビジネスを構成する要素が1枚にまとめられているビジネスモデルキャンバスを活用すると、認識間違えが起きにくくなります。
事業の改善点や新たな可能性を見つけることができる
新たな可能性と事業の改善点を見つけることができることも、ビジネスモデルキャンバスのメリットです。
9つの要素を埋めると、自社製品の強みや弱み、新たなビジネスチャンスや潜んでいるリスクが可視化できます。
それらを踏まえて事業を展開すると、自社の成長につながるでしょう。
競合他社のビジネスモデルを分析できる
ビジネスモデルキャンバスで、競合他社の分析をすることができます。
競合他社が提供する製品の価値、顧客との関係性、収益の流れの構築方法などを見える化できます。
自社製品との違いや特徴を検討できると、他社と差別化した商品やサービスを生み出すことができるでしょう。
ビジネスモデルキャンバスの9つの構成要素
ビジネスモデルキャンバスの9つの構成要素を見ていきましょう。
顧客セグメント(CS:Customer Segments)
顧客セグメントとは、ビジネスの対象となる顧客を特定することです。
「最も重要な顧客は誰なのか」「顧客が抱えている課題は何か」という視点で、自社製品の顧客となるペルソナを決めます。
ペルソナには以下の要素を含めましょう。
・年齢
・性別
・居住地
・家族構成
・年収
・職業
・趣味
・悩み
・抱えているニーズ
・解決したい課題
・普段の行動習慣
例えば、レンタカーの店舗は、以下のような内容が考えられます。
[レンタカーの顧客セグメントの一例]
・短時間だけ車を使いたい人
・低コストで車を使いたい人
・低コストで社用車を使いたい法人
価値提案(VP:Value Propositions)
価値提案とは、特定の顧客セグメントに提供する独自の価値や解決策のことです。
「競合他社にはない価値は何なのか」「課題のある顧客にどんな解決方法を提供するのか」などの視点で、自社製品の特長や差別化ポイントを挙げます。
カーシェアリングサービスを提供する企業を例とする場合、以下のような内容が考えられます。
[レンタカーの価値提案の一例]
・短時間利用の場合、自家用車より安く使える
・24時間いつでも借りれる
・法人は、社用車を持つよりもコストが50%安くなる
特に、BtoBに価値提案が曖昧だと、自社製品の訴求がうまくいかないことがあるため、どんな顧客のニーズに応えるのかを挙げる必要があります。
チャネル:Channels
チャネルとは、顧客が求める価値を届けるルートや価値を告知する方法のことです。
例えば、顧客に価値を届けて購入ができるように店舗を構えて、購入後のアフターサービスをするだけでなく、製品やサービスの認知度を上げて、見込み客を取り込むためのウェブサイトを構築するといった、最適な方法で顧客に価値を届けるためのさまざまな取り組みが考えられます。
顧客との関係:Customer Relationships
顧客関係とは、顧客との特別な関係を構築し、維持したり展開する仕組みのことです。
それには、顧客がどのような関係を求めているかを明確にすることが重要です。
また、組織は顧客との関係で、一番優先される目的を明確にする必要があります。
例えば、新規顧客の開拓か、既存顧客の維持、販売拡大といったことが挙げられます。
収益の流れ:Revenue Streams
収益の流れとは、ビジネスによって得られるお金の流れと仕組みのことです。
「顧客はどんな価値にお金を払うのか」「どんな方法で払うのか」「どんな仕組みで収益を得るのか」といった視点で、マネタイズポイントを挙げます。
商品販売など一回だけの支払いや、サービスやサポートなど継続した支払いといった形が考えられるでしょう。
一般的な収益を獲得方法は次のとおりです。
・製品やサービスの販売・・・製品やサービスを販売することによって、収益を生み出します。
・レンタル:事前に決められた期間で商品を貸し出し、その対価として収益を得ます。
・サブスクリプション:継続的なサービス提供によって収益を生み出します。契約形態によって、年や月の定期的な間隔で支払いを受けます。
・ライセンス:企業が保有する知的財産を使用する許可を相手に与え、対価を得ます。
・広告:ソーシャルメディア等でよく用いられますが、2つ以上の当事者間を仲介する形で機能し、閲覧や購入された時に対価を得ます。
費用構造:Cost Structure
コスト構造とは、事業を運営するために必要なコストや経費です。固定費や変動費、「どのようなコストが発生するか」「最も重要なコストは何か」といった視点で、自社に必要なコストを挙げます。
カーシェアリングサービスを提供する企業を例とする場合、以下の内容が考えられます。
[カーレンタルのコスト構造の例]
・車両の調達・維持管理費
・燃料(ガソリン)費
・人件費や賃料
・駐車場代
経営資源:Key Resources
経営資源とは、ヒト、モノ、知的財産、財務のことです。
組織が継続して活動するのに、重要なものです。
経営資源が確保できないと、ビジネスモデルが成立しません。
提携先:Key Partners
提携先とは、外部にアウトソーシングすることや、外部から調達されるリソースのことです。
従来、社内で完結するビジネスモデルが多かったのですが、広い顧客層にアピールしたほうが効率がいいため、コストを抑えて最大の収益を上げることもできます。
主要活動:Key Activities
主要活動は、顧客に価値を届け、維持していく際に必要となる主な活動のことです。
具体的には、以下のような活動が主要活動に該当します。
・製品の製造
・市場調査
・ECサイトの構築・運用
・マーケティング戦略立案
・人材確保・育成
以下の3つを考慮して、実行すべき活動を洗い出しましょう。
・生産:顧客のニーズを満たす製品の業務効率化と大量生産
・問題解決:製品利用によって発生する問題を解決する方法
・プラットフォーム構築:ビジネスモデル上に新たなビジネスが生まれる仕組みを作ること
ビジネスモデルキャンバスの活用例
ここでは、レストランをオープンするためのビジネスモデルキャンバスの活用例を挙げてみましょう。
顧客セグメント・・・30代の会社員や主婦、ランチに訪れたい
価値提案・・・高タンパク質で低糖質のメニュー
チャネル・・・SNSの口コミやホームページの設計
顧客との関係 ・・・長期的な関係(割引クーポン、ポイントカードの配布など)
収益の流れ・・・電子決済やポイント割引
主要活動・・・材料の仕入れ、調理、食材管理、アルバイトの採用
リソース・・・店舗、駐車場スペース、周辺環境や立地
主要活動・・・材料の仕入れ、調理、食材管理、アルバイトの採用
パートナー・・・食材の仕入れ先業者
コスト構造・・・テナント代や人件費、仕入れ費用
ビジネスモデルキャンバスの作成ポイント
ビジネスモデルキャンバスの作成ポイントを挙げてみましょう。
時間をかけすぎない
ビジネスモデルキャンバスは、全体像を把握するためにします。
そのため、初期作成で一つの要素に時間をかけるより、すばやく作成して、少しずつ精度を増していくといいでしょう。
複雑にしない
全要素を書き込みすぎると、理解しにくくなるため、簡潔に作成しましょう。
要素はすべて埋める
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスを説明し構築するための要素が網羅されています。
そのため、抜けが発生すると信頼が低下するため、要素はすべて埋めましょう。
まとめ
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスの構造を視覚的にわかりやすく表現するフレームワークのことです。
ビジネスモデルの構成要素を1枚のシートにまとめるので、それぞれの要素のつながりや事業の全体像を明確にでき、関係者間の認識を図れます。
新規事業の構想や既存事業の見直し・改善、競合他社との差別化戦略などに役立ちます。
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