残業の強要はパワハラ?残業強要を拒否できるケースと対処方法について解説
2023.06.30
仕事をしていると、締め切り日などさまざまな事情で、残業しなければいけないことがあります。
ですが、上司と部下など優越的な関係によって、部下に無理に残業をさせると、パワーハラスメント(パワハラ)になってしまうことがあり、大きな問題に発展してしまいます。
今回は、残業強要について解説します。
残業強要とは?
・勤務時間内に、完結できないほどのたくさんの仕事をさせる
・終業間際に、大量の仕事を依頼する
・する必要のない仕事をさせる
残業を命令できる要件とは?
法定労働時間は、1日8時間以内、週40時間以内と決められています。
残業とは、法定労働時間を超えて労働することです。
使用者が労働者に法定労働時間を超えて残業をさせるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
・労働基準法第36条に基づく労使協定、つまり、36協定が結ばれている
・所轄の労働基準監督署長への届出がある
・就業規則や労働契約に残業に関する規定がある
ですが、労働者に、体調不良やけがなど、正当な理由があると、残業命令を拒否することができます。
残業の強制がパワハラや違法になるケースとは?
残業強要がパワハラや違法になるのはどのようなケースなのでしょうか。
以下で見てみましょう。
36協定が締結されていない
使用者と労働者が36協定を結んでいないのに、残業を強制すると、労働基準法違反となります。
労働基準法第119条第1号により、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金と罰則で定められています。
労働契約に残業が含まれていない
労働契約書や就業規則に残業なしと明記されている場合、残業を命じることはできません。
残業命令をすると、違法になります。
なお、残業なしの契約で採用された従業員は、残業ありの契約に変更しなければ、残業を命じることはできません。
残業命令が36協定や法律の上限を超えている
36協定には、月45時間、年間360時間の残業の上限があります。
特別条項付き36協定では、月45時間を超える残業は年間6回までで、年間の上限は720時間以内、月の上限は100時間未満です。
また、2~6カ月間の平均が80時間以内でなければいけません。
この上限を超えて残業を命じた場合、違法な残業命令となり、労働基準法第119条第1条によって、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金と罰則で定められています。
残業命令を出すことのできない労働者とは?
残業命令を出すことのできない労働者を以下に挙げます。
・妊娠中または出産から1年未満の労働者
・家族の介護をしている労働者
・未就学児の看護をしている労働者
・3歳未満の子どもを養育している労働者
残業強要を拒否できる場合
残業命令が違法である
・36協定を締結していない
・36協定の上限を超えた残業命令
・労働契約書や就業規則に残業の記載がない
正当な理由がある
残業する必要がない
パワハラに該当する可能性がある残業は、以下の通りです。
・勤務終了直前に大量の仕事を依頼する
・勤務時間内に終わらせれないほどの仕事をさせる
・残業できないことが分かっているのに残業させる
残業を命じる管理職は、残業命令がパワハラに該当しないかどうかに留意して、残業命令をしなければいけないでしょう。
残業を強要されたときの対処法とは?
残業強要の違法性をチェックする
36協定が結ばれているかどうか、労働契約書や就業規則に残業ありという記載がされているか、36協定の上限を超えた残業命令であるかといったことについてです。
要件に満たしてない場合、違法であるため、残業命令に従う必要はありません。
労働基準監督署に相談する
ですが、労働者が、残業強要の証拠を集めなければいけため、手間と時間がかかります。
弁護士に相談する
残業強要が違法なのであれば、労働問題に詳しい弁護士に相談するのも1つの手です。
労働基準監督署と違って、証拠がなくても相談できるため、労働者の負担が少ないのがメリットです。
無料相談もありますので、利用してみるのもいいでしょう。
まとめ
今回は、残業強要について解説しました。
会社は、36協定を締結していれば、残業を命令できますが、労働者も正当な理由があれば残業を拒否できます。
会社や上司が、優越的な地位を利用して、残業強要した場合、パワハラ認定されたり、違法になることがあります。
残業の強要をされ、パワハラの疑いがあったり、違法性がある場合は、弁護士など専門的知識を持った人に相談するといいでしょう。