コラム

心理的安全性とは?もたらすメリットや高める方法を解説

2023.07.31

心理的安全性についてご存じでしょうか。

 

生産性の向上につながるため、心理的安全性の考えが広がり、多くの企業が心理的安全性を高める取り組みを始めています。

 

心理状態の安全性が高いことという意味ではないため、間違った認識を持たれることの多い言葉です。

 

今回は、健全な職場にするために、心理的安全性のメリットや高める方法について解説します。

心理的安全性とは

心理的安全性とは、従業員が、他の従業員から非難や否定されることに不安を感じず、自分の能力や個性を安心して発揮できている状態を指します。

 

心理的安全性は、1999年に、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が、提唱した概念です。

 

心理的安全性は、生産性の向上や多様性の尊重、労働環境の快適さなどの観点から、近年注目されています。

 

全従業員が、心理的安全性の重要性を理解することによって、心理的安全性が高まります。

心理的安全性が注目されるようになった背景

心理的安全性は、1999年に定義づけられましたが、なぜ昨今、注目を集めるようになったのでしょうか。

 

その背景には、働き方の変化や心理的安全性に関する研究があります。

 

2012年に、Googleが、大規模な調査しました。

 

そこで、チームの生産性を高めるためには、下記の5つの要素が重要であると判明しました。

 

心理的安全性
相互信頼
構造と明確さ
仕事の意味
インパクト

 

Googleは、成功し続けるチームに最も重要な条件は心理的安全性であるとし、心理的安全性が高いチームのメンバーは、離職率が低く、アイデアを活用でき、マネージャーから評価される機会が2倍多いということが判明しました。

 

このことから、心理的安全性は、チームや組織の生産性をあげるために必要不可欠なものとして、注目を集めるようになりました。

心理的安全性が低い職場で起こる4つの不安とは

心理的安全性の低い職場では、どのような弊害をメンバーに引き起こしてしてしまうのでしょうか。

 

心理的安全性を提唱したエイミー・エドモンドソン教授は、心理的安全性が低い職場では、多くの従業員が不安を抱えながら、自分を隠して働いているとしています。

 

そして、以下の4つの不安が生じるとしています。

無知だと思われることへの不安

心理的安全性が低下すると、チームメンバーに、「こんなことも知らないの?」と思われるのではないかと不安を感じます。

 

このような心理状況に陥ると、質問や相談ができずにミスを起こしてしまいます。

 

また、自分の失敗を報告できないと、チームメンバーとコミュニケーションが取りにくくなり、働くこと自体に影響を及ぼしてしまいます。

無能だと思われることへの不安

心理的安全性が低い職場では、ミスや失敗を報告する時に、仕事ができない人と思われることに、不安を感じてしまいます。

 

この状態になると、失敗を認めなくなったり、ミスを隠してしまい、大きなトラブルに発展することがあります。

 

無能だと思われることを恐れて、プレッシャーや責任感を抱えてしまい、強いストレスを感じることもあるでしょう。

邪魔をしていると思われることへの不安

心理的安全性が低い職場では、邪魔をしているのではないかという不安になる従業員が出ます。

 

例えば、「自分の発言によって、相手の意見に文句を言っていると思われるのではないか」「プロジェクトに参加して他のメンバーから不必要だと思われているのではないか」といった不安が増大します。

 

心理的安全性が低い職場では、自由な意見交換が否定されやすい傾向があるからです。

 

邪魔をしていると思ってしまうと、従業員の自主性が低下してしまい、積極的に発言したり、提案することができなくなります。

ネガティブだと思われることへの不安

心理的安全性が低い職場では、従業員がネガティブな感情を生み出しやすくなります。

 

異論を発することで、ネガティブな人間であると思われるのではないかという不安を抱いてしまいます。

 

そうなると、他人の考え方が明らかに間違っていることでも、否定や批判をしにくくなり、方針に納得しないまま業務をせざるをえなくなってしまいます。

 

また、パフォーマンスが低下してしまうこともあるでしょう。

心理的安全性がもたらすメリット

心理的安全性が保たれていると、従業員の能力が発揮されやすくなり、チームの生産性が高まります。

 

具体的にどのようなメリットがあるのか見てみましょう。

業務パフォーマンスが向上する

心理的安全性が高いと、意見やアイディアを発言しやすくなり、積極的に業務に取り組もうというモチベーションになります。

 

意見が尊重されることでやりがいを感じたり、責任感を覚えて、モチベーションが高い状態で働くことができ、メンバーのパフォーマンスの向上を期待できます。

スムーズに情報共有ができる

心理的安全性が高い職場では、不安なく発言できるので、スムーズに情報共有ができます。

 

メンバーは、成功体験、失敗や課題など、さまざまな情報を共有することができます。

 

自分の意見が受け入れられるという安心感によって、新しいアイデアを創出できたり、他のメンバーの成功体験を自分の仕事に生かすこともできます。

 

問題の早期発見、解決に繋がる

心理的安全性が高い環境では、ミスやトラブルなどのネガティブな報告がしやすくなります。

 

したがって、早くミスに気づいて、迅速にトラブルを解決できたり、早期に課題を発見することもできるでしょう。

 

間違ったことへの意見も言うことができ、チームのバランスを強化することもできます。

心理的安全性を高める方法

心理的安全性が高いことによるメリットは多くありますが、どのように高めればよいのでしょうか。

 

心理的安全性を高める方法について見てみましょう。

平等に発言の機会を与える

安心して発言できる環境でも、一部の人だけが発言していることがあります。

 

そのため、メンバー全員が遠慮なく発言するには、平等に発言の機会を与える必要があります。

 

新入社員にも発言してもらうことによって、誰でも発言できるような環境を整えましょう。

コミュニケーションを活性化させる

コミュニケーションが活性化すると、心理的安全性が向上します。

 

職場だけでなく、飲み会などリラックスして話せる環境を持つことは大事でしょう。

 

チャットツールやWeb会議システムなどを利用して、コミュニケーションがしやすくなる工夫をしましょう。

協力を大切にする職場環境を作る

従業員同士が、競争するのではなく、協力する関係を構築することは大切です。

 

ポジティブな受け止め方をすると、相手の失敗を責めることが減り、良好な信頼関係が築かれるでしょう。

評価方法を見直す

心理的安全性の向上には、評価方法も関係します。

 

評価方法が成果主義の場合、ミスを恐れたり、他のメンバーが気になって、安心しながら仕事ができなくなってしまいます。

 

チームでの評価をしない、ノーレイティング方法を取り入れるのも、1つの方法です。

 

まとめ

今回は、心理的安全性のメリットや高める方法などについて解説しました。

 

近年、労働市場の流動化が高まっており、職場環境が非常に重視されています。

 

心理的安全性を高く維持するために、日頃から従業員同士が発言しやすい環境を作り、気軽にコミュニケーションが取れる機会を作りましょう。

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