個人事業主が活用できる助成金と補助金について解説
2023.09.09
事業をする資金を自己資金ですべて用意することは難しいことがあります。
そのような時は、国や地方自治体が事業者を支援する目的で給付する補助金と助成金を利用しましょう。
補助金と助成金を活用することは経営戦略の1つで、どのような内容のものがあるのか知る必要があります。
今回は、個人事業主が利用できる補助金や助成金についてご紹介します。
助成金と補助金の違いとは
助成金と補助金は何が違うのでしょうか。
それぞれの定義について以下で見てみましょう。
補助金
補助金は、国から支給され、経済産業省の管轄下にある中小企業庁の補助金制度のことです。
経済産業省(中小企業庁)の補助金は、中小企業、個人事業主、フリーランスといったスモールビジネス事業者の活性化を目的としています。
具体的には、産業支援、IoT、ロボット開発など、経済産業分野における研究開発や新市場創出、地域振興を支援するために、その費用の一部が補助金として支給されます。
中小企業庁が、補助金の申請や支給業務を担っています。
事業者が補助金を受給した場合、税制上は本業以外の収入である「雑収入」と考えられるため、税金がかかります。
ですが、消費税の対象にはなりません。
また、補助金を受給し、収入が増えると税負担が増えます。
助成金
助成金は、労働環境の改善をするために、国や地方自治体によって支給されるお金です。
例えば、新規採用や中途雇用、人材育成、Uターン雇用、障害者の定着支援、労働環境の改善のための費用として挙げられます。
従業員を雇用している事業主が、助成金を受けられます。
助成金の財源は雇用保険の保険料や税金です。
厚生労働省が管轄する都道府県労働局が、助成金の申請先で、助成金を支給します。
助成金は、税制上は「雑収入」とみなされ、受給されると所得税(法人の場合は法人税)がかかります。
消費税は除外とされます。
個人事業主が補助金を使うメリット
個人事業主が経済産業省の補助金を使うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
以下で見てみましょう。
返済する必要がない
お金を返済する必要がないことが、一番大きなメリットです。(返還が必要な場合も一部あります)
新規事業を始める時や、設備投資の費用を補助金でまかなうと、経済的な負担を軽減できます。
信用度が上がる
公的機関の書類や面接審査を受けて、補助金が給付されます。
そのため、厳しい審査で採択され、補助金を受けた事業者になるため、信用度が上がります。
大きな金額の助成金を受けられる
補助金は、助成金と比べて、給額や予算規模が大きいです。
事業計画を改善できる
補助金申請時に、事業の特長や優位性だけでなく、弱点も客観的に見ることができるため、計画を改善することができます。
個人事業主が補助金を使うデメリット
次に、個人事業主が補助金を使うデメリットについて見てみましょう。
審査が厳しく、受給できないことがある
補助金の採択率は、補助金によって異なります。
予算規模が大きく、申請件数が少ないと、採択率は高くなります。
そのため、早く申請したほうがいいでしょう。
また、申請時、公募要領に書かれている申請要件を1つでも満たしていなければ不採択となります。
補助金の目的を十分理解して、点数がつくように内容を記入することが重要です。
手続きに手間がかかる
補助金を申請するにあたって、書類を提出したり、説明会に参加しなければいけないため、非常に手間がかかります
採択を受けた後も、事務処理や事後報告もしなければいけません。
後払いで支給される
補助金は、前払いでなく後払いです。
補助金の申請、採択、補助金を受け取る、これが、一連の流れです。
そのため、補助金が払われるまで、資金が必要なため、自己資金がなければ、資金を借りなければいけません。
補助金が確定したら、1か月以内に振り込まれます。
個人事業主が助成金を使うメリット
個人事業主が助成金を受給すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
助成金を受ける時のメリットについて解説します。
返済の必要がない
助成金は、返済する必要がありません。
ですが、要件を満たしていなかったり、申請時の約束が履行されていないと、助成金を返還しなければいけないという罰則があります。
申請通過率が高い
補助金は一定の要件を満たしたら、審査で採択されなければいけませんが、要件さえ満たせば、予算がある限り支給されます。
事業を継続できる
助成金は、企業の労働環境の向上を目的として支給されるお金です。
助成金によって、労働環境がよくなると、人材確保や従業員のモチベーションアップにつながり、継続的に事業ができるようになります。
個人事業主が助成金を使うデメリット
個人事業主が助成金を使うデメリットについて見てみましょう。
労働環境の条件にあわないと受給できない
申請事業者が労働関係の法令を遵守していることが、助成金の受給の条件です。
例えば、就業規則作成や残業代計算が挙げられます。
個人事業主で従業員を雇用している場合、雇用契約を結んでいないと、法令違反として、助成金を受給できません。
前払いではない
助成金は、事業者が労働環境の整備をした後に支給されるため、注意しましょう。
従業員解雇があると受給できない
労働環境の向上を目的としているため、ほとんどの助成金は、6か月以内に事業主都合の従業員解雇をしていないことを条件としています。
支給まで時間がかかる
助成金が支給されるまで、申請から6~8か月程度、状況によっては1年ほどかかります。
個人事業主への補助金の種類
個人事業主への補助金としては、下記のものがあります。
創業補助金
創業補助金は、事業を始めるときに受けることができる補助金です。
補助金額の範囲は、外部資金調達をしていない場合は50万円以上100万円以内、金融機関から借り入れるなど外部資金調達がある場合は50万円以上200万円以内となっています。
小規模事業者助成金
従業数が20人以下の事業主が、事業継続のために利用できる助成金です。
事業者は、商工会や商工会議所からアドバイスをもらって経営計画書を作成し、経営計画書通りに営業活動して、必要な費用の3分の2以内、上限50万円まで助成してもらえます。
個人事業主への助成金の種類
個人事業主への助成金の種類について見てみましょう。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、有期労働者、短時間労働者、派遣労働者など、非正規雇用労働者のキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善をした事業者に支給します。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、事業活動を縮小しなければいけなくなった場合、従業員に支払う休業手当などの一部を助成するものです。