開業届の必要書類と書き方、出し方についてご紹介
2024.10.01
個人事業主として開業するには、開業届を提出する必要があります。
ですが、「開業届のことを聞いたことはあるけれど、内容や提出方法などはよく分からない」という方も少なくないでしょう。
今回は、開業届の必要書類と書き方、出し方についてご紹介します。
開業届とは
開業届とは、個人事業を開業したことを税務署に届け出る書類のことです。
正式名称は、「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
事業所得や不動産所得、山林所得が生じる事業の開始時だけでなく、事業の廃止時、事務所・事業所の新設や増設、移転時にも提出をしなければいけません。
青色申告で確定申告する場合は必ず提出する必要があります。
開業届の提出期限
開業届の提出期限は、原則として開業してから1ヶ月以内です。
提出期限が、土日祝日の場合は、その翌日が期限です。
期限内に提出できなくても、罰則はありません。
ですが、確定申告を青色申告で行う場合は、その年の3月15日までに青色申告承認申請書とともに所轄の税務署へ提出が必要です。
なお、開業届を提出する時に、マイナンバーカード、または、マイナンバーがわかる確認書類(個人番号通知書やマイナンバーが記載された住民票など)と、本人確認書類が必要になるので忘れないようにしましょう。
開業届以外で、開業する時に必要な書類
開業届以外で、開業する時に必要な書類を以下に挙げてみます。
事業開始等申告書
事業開始等申告書とは、都道府県の税事務所に事業を始めたことを申告するための書類です。
開業届は、所得税や消費税など国税に関係する届出ですが、事業開始等申告書は、個人事業税という都道府県税に関係する届出です。
そのため、事業開始等申告書は、都道府県の税事務所に提出します。
書類の名称や様式や提出期限は、都道府県によって異なるため、自治体の窓口や自治体のホームページで確認しましょう。
なお、所得税の確定申告を行っている場合は、個人事業税の申告をする必要はありません。
事業開始等申告書は、提出しなくても罰則はありません。
ですが、個人事業税の課税対象になった場合(事業所得が290万円以上)は、都道府県税事務所から個人事業税の納税通知書が送付されます。
青色申告承認申請書(青色申告で確定申告する場合)
青色申告承認申請書とは、青色申告で確定申告をするための申請書のことです。
正式名称は「所得税の青色申告承認申請書」です。
確定申告を青色申告で行う場合、その年の3月15日までに、開業届と一緒に所轄の税務署へ提出する必要があります。
確定申告を行う年の1月16日よりあとに開業届を提出した場合には、開業届を提出した日から2ヶ月以内に提出すれば問題ありません。
ちなみに、青色申告承認申請書を提出をしていないと、自動的に白色申告になります。
青色専業者給与に関する届出書(家族従業員に支払う給与を経費にする場合)
青色事業専従者給与に関する届出書とは、青色申告を行う事業主の下で働く家族従業員(専従者)に支払う給与を、経費として計上するための書類のことです。
青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までに提出する必要があります。
また、その年の1月16日以後に開業し、新たに専従者を追加したら、その開業日や専従者を追加した日から2ヶ月以内に提出しなければいけません。
ちなみに、青色事業専従者給与を経費として計上するためには、青色専業者給与に関する届出書を提出し、以下の条件を満たしている必要があります。
・青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
・その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
・その年を通じて6ヶ月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること
各職種の許認可に関する書類
開業する業種によっては、届出や免許などが必要な場合があります。
以下に挙げてみましょう。
・飲食店営業許可
・菓子製造業許可
・酒類の販売業免許の申請
・宅地建物取引業
・旅館業営業許可
・防火管理者選任届
・動物取扱責任者
・風俗営業許可
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
従業員を雇う場合、給与から従業員が支払う所得税を天引きして預かり、従業員の代わりに納付する義務があります。
源泉徴収税は、毎月10日に納付しますが、給与を支払う対象である従業員が10人未満の場合、特例によって、半年に1回まとめて納付することができます。
例えば、1月から6月までに支払った給与から源泉徴収した所得税は、7月10日までに半年分をまとめて納めることが可能です。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書は、この特例を利用するために必要になります。
開業届の記入と提出方法
開業届の記入のしかたと提出方法についてご紹介します。
開業届をダウンロードする
国税庁のホームページから開業届をダウンロードします。
プリントアウトして手書きでも、パソコンで入力することもできます。
また、税務署で用紙を直接受け取ることもできます。
必要項目を記入する
開業届に記載する主な内容は以下の通りです。
・提出先・提出日→税地の管轄となる税務署名と開業届の提出日を記載する
・納税地→以下のうち、納税地に該当する場所を選び、住所と電話番号を記載する
住所地:住民票と同じ住所
居所地:住民票と異なる、一時的に住んでいる場所
事業所:店舗や事務所など、事業を行っている場所
・氏名・生年月日・個人番号→事業者本人の氏名と生年月日、マイナンバーを記載する
・職業・屋号→所得を得ている職業を具体的に記載する 屋号は任意である
・届出の区分→不動産所得、山林所得、事業所得のうち該当するものを選択する
・所得の種類→不動産所得、山林所得、事業所得のうち該当するものを選択する
・開業・廃業等日→開業した日を記載する 日付は自由に設定できる
・開業に伴う届出書の提出の有無→「青色申告承認申請書」を提出する場合、消費税課税事業者に該当する場合は「有」にチェックする
・事業の概要→事業内容を具体的に記載する
・給与等の支払の状況 →「専従者」欄には青色事業専従者の人数を、「使用人」欄にはそれ以外の従業員の人数を記載する 源泉徴収の天引きが必要な場合は「有」にチェックを入れる
税務署に提出
開業届を税務署に提出します。
税務署の開庁時間は、祝日などを除く月曜日から金曜日の8:30から17:00までです。それ以外の時間に持参したい場合は、税務署の入り口や門扉の近くに設置されている時間外収受箱に投函することで提出できます。
開業届の控えは個人事業主として開業したことの証明であるため、大切に保管しましょう。
窓口に直接持参する場合は、あらかじめ記入しておいた控えに受領印を押してもらったものを受け取ります。
郵送や時間外収受箱による提出では、開業届の控えと返信用封筒を同封します。その後、税務署の担当者が控えに受領印を押した状態で返送してくれます。
受領印の押印された開業届は、屋号名義で銀行口座を開設したい場合や、金融機関で融資を受ける場合などに必要になることがあります。
開業届を税務署に提出する方法
開業届を税務署に提出する方法は、以下の3つがあります。
税務署窓口で提出する
税務署の窓口の受付日時は、平日8:30~17:00、土・日・祝日は閉庁日です。
時間外の場合は、税務署の時間外収受箱に投函することができます。
開業届と同時に提出する開業届(控用)は、窓口提出の場合、受付印を押した上で返却されます。
郵送の場合は返送用封筒を同封すれば、受付印を押されたものが返送されます。
届け出に必要な持ち物は、個人事業の開業・廃業等届出書、マイナンバーカード、青色申告承認申請書(必要な場合)などです。
なお、マイナンバーカードを所持していない場合、免許証などの本人確認書類の写しと、以下のうち1つを持参しましょう。
・マイナンバー通知カードの写し
・マイナンバーの記載がある住民票の写し
・マイナンバーの記載がある住民票記載事項証明書
郵送で提出する
郵送で提出することもできます。
この場合は、開業届(控用)、マイナンバー確認書類のコピー、切手を貼った返信用封筒を同封して、納税地を所轄する税務署宛に郵送しましょう。
e-Taxを利用する
開業届は、国税庁の提供する電子申告ソフト「e-Tax」からも提出できます。
e-Taxによる提出の手順は、以下の通りです。
利用者識別番号の取得する
↓
電子証明書を取得する
↓
e-Taxのインストールする
↓
e-Taxで開業届を作成する
↓
5ICカードリーダライタで電子署名をして送信する
e-Taxを利用するには、マイナンバーカードと、ICカードリーダライタが必要です。
提出後は控えを保管しておこう
提出後は控えを保管しておきましょう。
開業届の控えは、以下の場合に提示を求められます。
・事業用の銀行口座の開設する際
・融資を受ける際に事業を行っていることを証明する際
・小規模企業共済に加入する際
・給付金・補助金・助成金の申請
開業届の控えは、税務署に提出した場合はその場でもらえ、郵送の場合は返送で受け取ることができます。
e-Taxで提出した場合、開業届を送信した際のデータと受信通知を合わせてプリントアウトしましょう。
副業で開業届の提出は必須なの?
会社員が副業する場合、収入が多くないことがあるため、基本的には開業届を提出する必要はありません。
ですが、継続的に事業と認められるような規模でしている仕事の場合、開業届を提出したほうがいいでしょう。
なお、本業で開業届を提出する人も副業で開業届を提出する人も、開業届の書き方や提出先は同じです。
まとめ
今回は、開業届の必要書類と書き方、出し方についてご紹介しました。
開業届を提出すると、大きな節税効果を得られたり、屋号で銀行口座を作れるなどのメリットがあります。
また、融資を受ける際やキャッシュレス決済を導入する際などに開業届の控えが求められるため、控えは大切に保管しましょう。
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