コラム

エバンジェリストとは?

2023.03.26

エバンジェリストという言葉をよく耳にするようになりましたが、正しい意味やその役割を理解している人は少ないのではないでしょうか。

 

IT技術が発展し続けている近年、エバンジェリストが注目を集めています。

 

今回は、エバンジェリストについて解説します。

エバンジェリストとは?

エバンジェリストとは、IT業界で近年注目を集めている新しい職種で、その役割を担っている専門的な人材のことです。

 

エバンジェリストは主に、キリスト教で使用される英語の「Evangelist=伝道師、福音を説く人」を語源としています。

 

エバンジェリストが注目される背景としては、近年IT技術は著しく進歩を続けているものの、難易度もそれに応じて上がってきているため専門職以外の人が内容を理解するのが難しくなってきたというのがあります。

 

エバンジェリストは、この難しいIT技術をIT業界の方向性やトレンドも含めてわかりやすく啓蒙し、新たなビジネスチャンスにつなげることができるため、注目を集めるようになってきたのです。

 

エバンジェリストの活動に注目するようになった企業も増加傾向にあり、ポストを新設し、適した人材を配置する企業も見られるようになってきました。

 

エバンジェリストは企業内だけでなく外部に対しても、イベント講師や、製品・サービスのプレゼンテーションといった活動も行っています。

エバンジェリストと営業・広報との違いとは?

エバンジェリストと営業・広報との違いは、説明する対象・目的・伝達方法です。

 

営業は、見込み顧客に対して自社製品やサービスを説明し、契約の成立をするためにします。

 

ですが、エバンジェリストは、イベントなどで不特定多数に対して説明をし、理解をしてもらうことが目的となっています。

 

広報は、不特定多数の人に自社製品やサービスの説明をし、企業価値を構築しますが、啓蒙するという要素はありません。

 

エバンジェリストは、広報のように自社製品やサービスの情報を伝えるだけでなく、培った専門知識をわかりやすい言葉で説明をし、啓蒙するという役割もあります。

 

さらに、営業と広報は、自社製品や技術などのメリットを強調しますが、エバンジェリストは客観的な視点から、メリットとデメリットそれぞれについて触れ、中立な立場をとることが特徴です。

エバンジェリストの仕事・具体的な活動内容とは?

エバンジェリストは、技術の話や一般的には難しい話題を、専門外の人たちに広く分かりやすく説明しています。

 

エバンジェリストの具体的な活動や仕事の内容について見てみましょう。

イベントでのプレゼンテーション

イベントでのプレゼンテーションは、エバンジェリストの仕事の根幹ともいえる、非常に重要な活動とされています。

 

エバンジェリストは、自社の製品・サービス・技術などについて、不特定多数の人を前にプレゼンテーションをします。

 

プレゼンテーションとは、相手に伝え、相手を動かすことを目的としている点です。

 

エバンジェリストは、自分の話を聞いた相手が何らかのリアクションを起こすように促さなければなりません。

 

プレゼンテーションによって、価値を理解してもらい、新製品を購入してもらったりサービスの申し込みをしてもらったりと、相手を動かして結果を出すことまでがエバンジェリストの役割となっています。

個別デモンストレーション

営業担当者やカスタマーサポート部門と共同で、提案先や顧客企業向けのセミナーや勉強会を開催し、自社の商品やサービスのデモンストレーションをします。

 

顧客の持つ課題を、営業担当者や技術担当者と協力して解決したり、商品やサービスの効果的な活用方法を提案したりするのがエバンジェリストの仕事です。

インナーマーケティング

インナーマーケティングとは、新商品やサービスなどの発売に合わせて行う、社内向けの啓蒙活動やプレゼンテーションのことです。

 

社内の営業・広報・カスタマーサービス担当者等に向けて行い、機能やスペックだけではなくブランドイメージやサービスの価値など、幅広く周知するのが仕事です。

自社製品やサービスの研究・資料作成・情報収集

プレゼンテーションやデモンストレーション、インナーマーケティングを適切に行うためには、IT業界についての情報収集や、自社の商品やサービスについての研究が欠かせません。

 

技術的なことだけではなく、商品やサービスを導入するとどのような課題が解決できるのかやユーザー目線でのメリットなどさまざまな角度から分析し、知識を蓄えておく必要があります。

エバンジェリストに求められるスキルとは?

エバンジェリストには、どのようなスキルが必要になるのでしょうか。

 

エバンジェリストとして活躍するために必要なスキルを解説します。

ITやテクノロジーに関する知識

エバンジェリストが、専門性の高いITやテクノロジーに関する知識を正しく企業の内外に向けて発信するためには、エバンジェリストがそれを理解しなければなりません。

 

自社の商品やサービスに関する深い知識はもちろんのこと、IT業界全体の動向やトレンドなど幅の広い最新知識を持つことを求められます。

 

現在活躍するほとんどのエバンジェリストがエンジニア出身であるのは、このスキルが必要であることから来るのでしょう。

プレゼンテーション能力

一般のエンジニアなどは、技術にだけ向き合っていれば仕事が完結するケースが多いのですが、エバンジェリストの場合はそうはいきません。

 

ユーザー企業などを相手にプレゼンテーションを展開する機会も多くあるので、相手を引き付けるプレゼン能力は必須といえるでしょう。

コミュニケーション能力

相手が理解しているかを常に対話の中で探りながら話を進める必要があります。

 

コミュニケーション能力も、エバンジェリストに不可欠な要素です。

経営者視点

エバンジェリストは、経営者視点で物事を見ることも大事です。

 

自社製品やサービスをわかりやすく説明するためには、ユーザーの立場に寄り添うことが必要不可欠ですが、利用してもらうためには自社の経営理念に沿った提案をしなければなりません。

 

自社が何を目指しているのかを明確に理解し、経営者の視点に立って役割を全うしていくことが求められます。

向上心

IT業界の進歩は加速しているため、常に最新のテクノロジーや技術に触れ、それに精通している状態を維持するのはなかなか難しいことです。 

 

広域にアンテナをはって学び続けるということは、欠かせない力です。

エバンジェリストへキャリアチェンジがしやすい職種とは?

エバンジェリストの活動がクローズアップされてきましたが、、キャリアチェンジがしやすい職種がは。エンジニアとITコンサルタントです。

 

それぞれの特徴を見ていきましょう。

エンジニア

エンジニアが持つスキルで、エバンジェリストと同程度に求められるものは、開発能力やシステム運用能力といったシステム開発に関するものです。

 

コミュニケーション能力を伴った最新技術に関する知識、業務をスピーディーにこなす能力といったものも求められます。

 

一方、エバンジェリストほどに求められない能力は、設計能力や危機回避能力、プレゼン能力、対話能力、情報発信能力などのコミュニケーション能力です。

ITコンサルタント

エバンジェリストと同程度に求められる能力は、設計能力などのシステム開発能力・ヒアリング能力・プレゼン能力・コミュニケーション能力です。

 

最新技術の知識といった高い専門性も、エバンジェリストと同様に保持することが求められます。

 

一方、エバンジェリストに求められる、一つの製品やサービスにこだわりを持つことは、ITコンサルタントにはそれほど求められません。

 

キャリアチェンジしやすい職種といっても、求められる能力が違いますので、個人の資質に合ったキャリアを創造していくといいでしょう。

まとめ

エバンジェリストは、システム開発の能力だけでなく、コミュニケーション能力などの資質が必要な職種です。

 

保有している能力によっては、ITコンサルタントやエンジニアからのキャリアチェンジも可能でしょう。

 

日本企業でも、エバンジェリストの活動は広く認知されつつあります。

 

今回の記事を参考に、社内にプレゼンテーションやマーケティングの舞台で活躍できるエバンジェリストのポストを設置するきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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