コラム

時短ハラとは?時短ハラスメントの問題点や対策について解説

2023.05.12

働き方改革やワーク・ライフ・バランスの確保を背景に、残業時間の削減や業務効率化が多くの企業で急務ではありますが、時短ハラスメント(ジタハラ)に注目が集まっています。

 

時短ハラスメントとは、具体的な対策がない状況で、部下に残業時間の削減や定時退社を強いるハラスメントを指します。

 

時短ハラスメントは、法律への抵触や業務上の問題発生につながる可能性があるため注意しなければいけません。

 

今回は、時短ハラスメントの問題点や対策について解説します。

時短ハラスメントとは?

ジタハラとは、時間短縮ハラスメントの略語です。

 

ジタハラとは、残業の削減に関する具体的な案がないにもかかわらず、経営陣や管理職が従業員に対して「残業をしないで早く帰って」と定時退社を強要することを指します。

 

ジタハラは、政府が推進している働き方改革に伴って、全国各地で発生数が急増しています。

 

長時間労働見直しのための施策を講じず退社を強要すると、勤務時間内に終わらない量の仕事をしなければいけないのに、定時退社をしたり、残業が多い時には懲罰的な対応がとられると、従業員は仕事の持ち帰りやサービス残業をするしかない状況になり、心身の大きな負担になるでしょう。

 

持ち帰る残業が増えると、の士気が下がるといった問題が頻発してしまいます。

ジタハラの問題点とは?

では、ジタハラの問題点を見てみましょう。

業務短縮による仕事の質の低下

残業時間を削減するために、作業の優先度を決めず、強制帰宅を命じると、重要な工程が省略されてしまったり、納期に間に合わなくなる可能性があります。

 

仕事の質が低下するだけでなく、クライアントへの納品が遅れることによる信頼失墜というリスクが出てきます。

生産性の低下

時短ハラスメントは、従業員の生産性の低下も引き起こします。

 

仕事量は減っていないにもかかわらず、残業時間だけを削減すると、定時までに終わらなかった仕事を自宅に持ち帰って、在宅で仕事をする従業員が出てくるでしょう。

 

ですが、在宅勤務のため、本来なら支給されるべき残業代が支払われません。

 

サービス残業の増加や収入の減少は、従業員のモチベーション低下を招き、仕事への意欲がなくなり、企業全体の生産性が低下する可能性があります。

離職率の増加

強制帰宅や強制消灯、在宅勤務の増加は、職場環境を悪化させます。

 

また、仕事を通してスキルアップしたい従業員にとって、時短ハラスメントがあると、成長の機会を奪われてしまいます。

 

もっといい環境で働きたい、もっと成長できる職場で働きたいと従業員が考えると、離職率の増加につながります。

管理職の負担が増える

強制帰宅により、上司が、勤務時間内に終わらなかった部下の仕事をすることもあります。

 

そうなると、上司は、自分の仕事以外の多くの仕事を抱え込むことになり、負担が増えてしまうでしょう。

 

その結果、上司は、疲れが出て、生産性が低下するだけでなく、うつ状態などになってしまうことも考えられます。

時短ハラスメントを防止する対策とは?

企業活動に大きな影響を与えるジタハラですが、どのような対策を行えばいいのでしょうか。

 

ジタハラを対策する方法について見てみましょう。

適正な業務量に調整する

従業員の能力を把握し、定時時間までに終えられる適正な業務量はどのくらいなのかを考えて、仕事の割り振りを見直し、従業員が仕事を多く抱え込まないようにすると、残業時間を削減することができるでしょう。

 

能力の高い従業員に業務が集中している場合、業務の標準化ををして、属人化をなくしたり、経験の浅い従業員を教育することも必要です。

 

それでも定時までに仕事が終わらないのであれば、採用による新たな労働力を確保することを検討すべきでしょう。

従業員の生産性を高める

時短ハラスメントを防止する対策として、生産性の向上も必要不可欠です。

 

仕事の質を保ちながら残業時間を減らすためには、生産性を高めなければなりません。

 

従業員の仕事を洗い出し、無駄な作業や打ち合わせなどを把握し、徹底的に削減しましょう。

 

マニュアルを整備して、単純な業務の教育や引き継ぎをスムーズにすることも大切です。

ITツールの導入

ITツールを導入することも効果的です。

 

データ入力や書類整理などの単純作業は、ツールや文書の電子化サービスを利用して、業務効率を高めて、残業時間を短縮しましょう。

相談窓口を設ける

ジタハラによって、従業員のモチベーションが低下すると、離職につながる可能性が高まります。

 

離職率の増加は、採用コストの増加につながるため、企業活動に悪影響を及ぼします。

 

従業員が、体調不良で休職したり、離職すると、SNSや企業の口コミサイトにより、企業の悪評が急速に広がって、企業のブランドイメージが低下する恐れがあります。

 

ジタハラによって、休職者や退職者を出すことのないように、匿名で相談できるような相談窓口を設けるといいでしょう。

管理職の教育

管理職が、現場のリーダーシップをとるので、管理職がジタハラをしてしまいます。

 

そのため、働き方改革を適切にし、どんな行為がジタハラにあたるのかといった正しい知識が必要となるため、管理職の教育をしっかりする必要があります。

評価制度の見直し

評価制度を見直して、労働時間の管理の項目を追加するのも、効果があります。

 

全従業員の労働時間に対する意識を高めれば、時短ハラスメントの防止や生産性の向上につながるでしょう。

定時で帰る企業風土をつくる

企業によっては、従来、残業をよいものとしてきた風潮がある場合があります。

 

そのような企業では、定時で帰ったり、上司より先に帰ることに、気まずい雰囲気があることもあります。

 

今まで残業を推奨していたのに、具体的な指示がない状況で残業するなと言うことは、隠れ残業やサービス残業を誘発することになる可能性もあります。

 

残業禁止と指示をするのではなく、定時で帰ることが当たり前と従業員が感じられる企業文化の形成を意識するといいでしょう。

まとめ

ジタハラは、仕事の質が低下したり、クライアントの信用を失ってしまうという恐れがあります。

 

ですが、ジタハラの現状を冷静に把握して、適切な対策をとれば、生産性の向上や従業員のワーク・ライフ・バランスを達成できます。

 

無駄な作業を洗い出したり、ITツールを活用し、仕事の質を保ちながら残業時間を減らしていきましょう。

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