コラム

起業して10年以内の生存率は?長続きする会社の特徴とは?

2024.09.27

起業家の数は増加していますが、すべての会社が順調にビジネスを進めているわけではありません。

 

会社を設立して10年以上事業を運営し続けることは大変なことなのです。

 

会社の生存率は、10年以上になると、大幅に低くなりますが、長続きする会社にはどのような特徴があるのでしょうか。

 

今回は、会社の生存率と、長続きする企業の特徴をご紹介します。

企業生存率とは

企業生存率とは、法人が起業してから廃業や倒産をしないで、経営を存続できている割合のことです。

 

法人が対象となっており、個人事業主は含まれません。

 

以下で、具体的な生存率を挙げてみます。

起業から1年後の生存率

起業後1年後に生存している確率は95.3%となっています。(中小企業庁の「中小企業白書」による)

 

95.3%はフランスの83.6%、米国の78.0%、ドイツの76.9%と比べて、高水準です。

 

諸外国に比べると、日本は、1年後の生存率が高いですが、起業後1年しないうちに廃業してしまう会社は、見切り発車で経営をスタートさせていることが多いです。

 

開業1年目から黒字を出すことは難しく、手元の資金を削りながら経営するため、事業計画をきちんと立てて、まとまった資金を確保していないと赤字の補填ができずに、資金繰りが破綻してしまいます。

起業から3~5年後の生存率

起業から3年後の生存率は88.1%で、5年後の生存率は81.7%です。

 

起業から3年で倒産する会社は、事業が軌道に乗らずに廃業することが多いです。

 

また、起業時に用意していた資金が底をついたといったケースもあります。

 

3年以上運営している会社は、ビジネスが安定していることが多く、倒産する企業は減ります。

 

したがって、3年後まで生き残れた会社は、その後も存続できる可能性が高くなると言えるでしょう。

起業から10年後の生存率

創業から10年経過後の中小企業の生存率は72%と、約3割の企業が廃業や倒産をしています。

 

中小企業と違って、新たなビジネスモデルを創出するベンチャー企業の企業生存率は中小企業よりももっと厳しく、10年後には6.3%と言われています。(日経ビジネスWeb版による)

 

「創設後30年」が企業のターニングポイントという意見もあります。

 

創業100年以上の企業の営業年数を社長の人数で割ると、大体30年ごとに社長が変わっている計算になり、トップの交代は企業に大きな影響を与えていることがわかります。

 

したがって、創設後10年ごとに、企業にとっての正念場が訪れると言えます。

起業しても廃業してしまう理由とは?

廃業してしまう原因には何があるのでしょうか。

 

廃業に陥ってしまう原因を把握して対策すれば、廃業リスクを避けられるでしょう。

資金不足に陥った

資金不足が原因で廃業することがあります。

 

ビジネスでは、事業に関する経費や税金などの支出があります。

 

起業当初は資金が少なくて、廃業へと追い込まれる場合もあります。

 

また、ひとり社長で起業後、利益が出ず、個人事業主となる「個人成り」をする方もいます。

 

所得が800万円以下の場合、個人事業主のほうが自由度も高くなるからです。

財務関連の知識が乏しい

財務関連の知識がないと、廃業してしまう可能性が高くなります。

 

財務の知識がないと、どんぶり勘定をしてしまい、ビジネスを進めるために必要な資金管理ができません。

 

長く事業を運営できている会社の多くの経営者は、財務の知識を身につけているだけでなく、財務のプロである従業員もいるでしょう。

事業計画を進められない

事業計画通りの売上が出ず、資金が少ないことが原因で、廃業に陥ってしまうこともあります。

 

計画通りに事業が進まなかった場合の代替案を用意しておきますが、そこまで準備している方は少ないでしょう。

 

また、予定外の多額の支払いが発生すると、事業計画通りの支出にならなくなります。

 

そのため、資金が減っていき、廃業に追い込まれてしまいます。

事業拡大をして失敗する

事業拡大をしてしまって、廃業する会社もあります。

 

事業計画よりもビジネスが成長している場合、人材を増やしたり、事務所を拡大することはよくあるでしょう。

 

そうなると、人件費や家賃などの固定費が増加し、突然経営不振に陥っても、コストカットが難しくなります。

 

そのため、ビジネスが大きく展開していても、その後も成長し続けれるかはわからないので、事業規模の拡大には慎重にしたほうがいいでしょう。

出資してもらえない

銀行やベンチャーキャピタルから出資してもらえないことが原因で、廃業になることもあります。

 

起業したばかりの会社は信用度が低いので、銀行から融資してもらえないこともあるでしょう。

 

その場合、クラウドファンディングやファクタリングなどの方法を活用し、資金調達の手段を持っておくといいでしょう。

営業力が弱い

営業力が弱い会社と、自社商品やサービスを売って、利益を生み出せないため、廃業してしまいます。

 

営業力を上げるためには、営業に強い組織になるための仕組みやシステムを構築する必要があります。

 

会社全体で取り組むと、安定したビジネスができるようになるでしょう。

起業後の生存率を高めるためのポイントとは

起業して10年以上事業を続けていくには、長く創業している会社の特徴や共通点を把握しておくといいでしょう。

 

では、生存率を高めるためのポイントをご紹介します。

競業の少ない分野で先駆者になる

多くの業績を伸ばして大企業に成長した中小企業は、誰も手を付けていなかった新しい事業を始めています。

 

成長分野では、競合相手が多いため、激しい競争や価格競争に陥ることもあります。

 

誰もまだ行っていない新しい事業であれば、競争相手が少ないです。

 

その分野の先駆者としてブランド化すると、企業を長続きさせれるでしょう。

自分たちの強みがある

企業を存続させるためには、目標を明確にしておく必要があります。

 

いろいろなことに少しずつ手を出していると、自分たちがやるべき事が疎かになってしまいます。

 

何をするべきなのかを明確にすると、他社との差別化を図ることができます。

不易流行をあわせ持つ

不易流行をあわせ持つと、企業は長く存続できます。

 

不易とはずっと変わらないもののことで、流行とは時代の流れによって変わっていくもののことです。

 

ビジネスにおいては、伝統的な本質を大切にしながらも、時代の変化に応じた事業や手法を取り入れることが大切です。

 

不易と流行のバランスを保ちながら経営すると、企業は廃業に陥らないでしょう。

経営陣や幹部が将来を見据えている

経営陣や幹部が、しっかりと将来を見据えて、積極的に責任感を持って行動していると、企業は長続きする傾向にあります。

 

また、経営陣の考えや理念を会社全体に行きわたらせておくことも重要です。

 

そうすることによって、会社全体が同じ方向を向いて事業を進めることができ、企業は大きく成長します。

リスクに対する備えができている

リスクへの備えをしておくことも重要です。

 

会社を10年以上と経営すると、自然災害や戦争といったさまざまな問題に直面するでしょう。

 

そのような危機を乗り越えて、ずっと経営をしていくにはリスク管理をしなければいけません。

資金を十分用意する

資金が十分あるかどうかは、企業の生存率と大きく関わっています。

 

起業当初は融資が期待できないことが多いため、まとまった資金を確保しておく必要があります。

 

急に資金を用意することは難しいため、起業を決めたら、資金を準備しましょう。

 

起業後の資金繰りに苦戦している場合、資産を売却してキャッシュを確保することも対応策の一つです。

コストを削減する

無駄なコストがあると、資金はどんどん減ってしまいます。

 

事業に必要な資金を確保するためにも、コストを削減しましょう。

 

そうすることによって、業務の効率が向上し、利益も上げやすくなり、安定して事業を運営できます。

事業継承の仕組みを考える

長期にわたって会社を生存させていくには、事業の後継者を育成することが重要です。

 

後継者不足で廃業になる会社もあるので、早い段階から事業継承を考えておきましょう。

 

後継者の育成以外にも、M&Aを利用して事業を引き継いでもらう方法もあります。

まとめ

会社の設立は、まだスタート地点に立った状態です。

 

会社の目標を明確にして、長続きする会社を実現しましょう。

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