コラム

屋号とは?屋号のメリットとデメリット、注意点などについて解説

2023.08.31

個人事業主として開業する際、個人名ではなく屋号を名乗って活動する方は少なくありません。

 

屋号は、個人事業主が開業する際や確定申告書などでよく見られるもので、会社の商号と似たものです。

 

ですが、屋号は必ず設定しなければいけないのか、設定することに意味はあるのかなど、わからないことも多いでしょう。

 

今回は、個人事業主の屋号についてのメリットとデメリット、注意点などについて解説します。

屋号とは

屋号とは、個人で事業をするときに使う店名や事務所名のことで、法人で言えば会社名に相当します。

 

例えば、〇〇商店、〇〇事務所、〇〇院、〇〇企画、○○デザインといったものが挙げられます。

 

個人で事業をする場合、屋号は必須ではなく、本名で仕事をしてもかまいません。

 

届け出をすると、個人事業主でも会社名に相当する屋号を利用できます。

 

個人事業主として開業しても、店舗や事務所などを持たない業種では、屋号を使わないことも多くあります。

屋号と商号の違いとは

商号は、法人登記において設定される会社名のことです。

 

そのため、商号は法人が使用するものであり、個人事業主が使うことはできません。

 

商号は、営業をするのに重要なため、法律で一定の保護が受けられます。

 

他人が不正に商号を使っている場合、商号権という権利によって、損害賠償請求することができます。

 

一方、屋号は個人事業主が営業のために使っている名称のため、法的保護は受けられません。

 

つまり、他人が自分の屋号と同じ名称を使うことができます。

 

開業届に屋号を書くことはできますが、それによって何か権利が発生するわけではありません。

 

個人事業主が、屋号を登記した場合、商号にすることができます。

屋号を使うメリット

屋号は、個人事業をするのに設定しなければいけないものではありません。

 

ですが、屋号をつけることによってメリットが得られます。

 

どんなメリットがあるのか見てみましょう。

銀行口座の名義に使える

事業用のお金とプライベートのお金を分けて管理したい場合、金融機関で屋号と氏名を組み合わせた口座を開設することができます。

 

別々の口座があると、会計処理が楽になり、会計処理や税務処理をする際に、ミスを減らすことができます。

事業内容がわかりやすい

個人名で事業をすると、どんな事業をしているのかがわかりません。

 

ですが、例えば、「〇〇工務店」「猫カフェ〇〇」といった屋号を使うと、どんなサービスを提供しているのかがわかり、お客様に覚えてもらいやすくなります。

 

また、フリーランスで仕事をしている場合、屋号を使うと、本名を知られないため、プライバシーを守るというメリットもあります。

法人化をする時に便利になる

屋号は、法人化する時に商号として使用できます。

 

個人事業で実績を積み上げてから法人化するため、新規の取引先に過去の実績を提示しやすくなります。

 

つまり、全くの新規法人と違って、それまでの実績や信用をベースに営業を継続できるため、有利に展開することができます。

信用を得やすい

屋号を利用するためには、税務署に届け出をしなければいけません。

 

そのため、信用を得やすいメリットがあります。

融資の場合に有利になる

屋号を持っている個人事業主は、税務署に届け出て正式に開業しているため、クレジットカードやローンの申請で有利になります。

 

また、個人事業主の社会的信用度が高まると、金融機関からの融資を受ける時に、審査が有利に働きます。

屋号を使うデメリット

今度は、屋号を使うデメリットについて見てみましょう。

屋号の選定や登録に時間がかかる

屋号は、事業内容を表したものにする必要があるため、他のサービスや他の会社名と被らないようにしなければいけません。

 

屋号が被っていること自体は、違法ではありませんが、全く同じ屋号を使ってしまうと、既存のサービスや事業所の盗用と捉えられてしまい、いい印象を持たれません。

 

したがって、時間と手間がかかりますが、使いたい屋号が、他で使われていないかを確認したほうがいいでしょう。

屋号を変更すると、手続きに時間がかかる

開業届や確定申告書に記入すれば、屋号の登録ができます。

 

ですが、屋号を変更したい場合は、手続きをするのに、時間と手間がかかります。

 

申請手続きや報告などが必要となるからです。

開業中に屋号をつけると、時間と手間がかかる

開業中に屋号をつけると、ホームページや名刺に書かれている記載情報を変更しなければいけないため、時間と手間がかかります。

 

屋号のついた銀行口座に変更したい場合も、変更手続きをする必要があります。

屋号をつける時の注意点

屋号に関する明確なルールはなく、自分の好きな屋号をつけることができます。

 

ですが、他の法律等には触れないように気を付ける必要があります。

 

屋号をつける時の注意点について見てみましょう。

「会社」や「法人」の文字を入れることができない

屋号には、「会社」「コーポレーション」「法人」といった文字を使うことができません。

 

また、「〇〇銀行」「〇〇証券」「〇〇保険」といった名称も、その事業をしているのでなければ、法律で禁止されていますので注意しましょう。

登録されている名称は使えない

事業内容をわかりやすくするための屋号を使うと、他で運営されている類似の事業やサービスと似た名称になってしまいます。

 

例えば、○○事務所や○○院の○○を名字にすると、同一の名称が他で使われていることは珍しくありません。

 

法人の会社名など、商標登録された会社や商品の名称と同じになると、トラブルが発生してしまうおそれがあります。

 

そのため、業種が異っていても、法人の名称と同じ屋号を使用しないほうがいいでしょう。

 

また、同一名称の事業者がいる場合、インタ-ネット検索で上位に表示される可能性が下がりやすくなるため、同じ名称を使わないほうが得策です。

 

同一の屋号が存在するかどうかは、法務局の「オンライン登記情報検索サービス」やインターネット検索で調べることができます。

屋号を長くしない

屋号の長さに決まりや制限はありませんが、長すぎる屋号は好ましくないでしょう。

 

覚えにくく発音しにくいため、電話対応時に不便を感じたり、SNSなどで書き込みにくくなります。

 

覚えやすく短い屋号にするといいでしょう。

 

登録した屋号を変更することはできるのか

開業時に決めた屋号が、時間が経って、よりよい他の名称を思いつくこともあるでしょう。

 

ですが、屋号を変更する際に、申請手続きはなくて、確定申告書の屋号欄を変更するだけで変更することができます。

 

ですが、取引先に混乱を招く恐れがあるため、事前に周知して、信頼を損なわないようにする必要があります。

 

また、屋号を変更すると、名刺やホームページの情報を変更したり、屋号つきで作成した銀行口座の登録情報を変更しなければいけないため、時間と手間がかかることに注意しましょう。

まとめ

屋号は、個人事業主の事業における重要な名称で、法人で言えば会社名に相当します。

 

屋号は、任意に設定できますが、屋号を設定すると、社会的信用が高まったり、屋号付きの銀行口座を解説できるといったメリットがあります。

 

開業届や確定申告書に屋号を記入すれば利用でき、登録しても必ずしも使う必要がありませんので、登録しておくといいでしょう。

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