バーチャルオフィスを利用する場合の納税地はどこにするのか?
2023.09.12
起業する際に、バーチャルオフィスを利用する方が増えています。
バーチャルオフィスを利用すると、実際には使っていないオフィス住所を勤務地の住所として使うことができますが、納税地はどうなるのでしょうか。
納税地の申請については、自宅にするのか、バーチャルオフィスにするのか、事業にあわせて決めることができます。
バーチャルオフィスを利用した場合に、納税地をどこにしたらいいのかについて解説します。
納税地は選ぶことができる
バーチャルオフィスを利用した場合、勤務地の住所は、自宅住所とバーチャルオフィスの住所の2つです。
納税地は、自宅住所か、バーチャルオフィスの住所のどちらかから選びます。
個人事業主は「開業届出書」で納税地を設定し、法人は「法人設立届出書」で納税地を設定します。
納税地を自宅住所にする場合の注意点
個人事業主であっても法人であっても、自宅住所を納税地にすることができます。
ですが、自宅がマンションの場合、賃貸マンションや分譲マンションに関わらず、管理規約で事業所登録が禁止されていることがあります。
事前に、管理規約を確認したほうがいいでしょう。
また、賃貸マンションの場合、住居用物件と事務所用物件がありますが、事務所用物件は、大家さんが支払う固定資産税や消費税等の税金が高いです。
そのため、住居用なのに事務所として使われると、賃貸契約違反になってしまいます。
自宅住所を本店所在地とする場合、賃貸契約書を確認して、管理会社や大家さんに許可をもらう必要があります。
納税地を自宅住所にできますが、賃貸契約違反といったトラブルになりうるため、バーチャルオフィスの住所を利用するほうが安心できます。
個人事業主の納税地
個人事業主は、開業届を税務署に提出します。
開業届に納税地を記載する欄があり、「住所地」「居所地」「事業所等」の中から1つ選択します。
「住所地」「居所地」「事業所等」の違いについて見てみましょう。
住所地
住所地とは、生活の場(本拠)のことです。
住民票がある住所に住んでいれば住所地となりますが、住民票が住所にあるだけでは住所地にできません。
居所地
国税庁によると、居所とは、相当期間継続して居住しているものの、その場所との結びつきが住所ほど密接でないもの、すなわち、そこがその者の生活の本拠であるというまでには至らない場所をいうものとされています。
事業所等
住所地や居所地以外に事業所がある場合、その事業所などの所在地を納税地にすることもできます。
個人事業主の納税地
個人事業主は、個人事業の開廃業等届出書(開業届出書)を税務署に提出して、事業を開始します。
開業届出書には、「納税地」「納税地以外の住所他・事業所」を記入する欄があり、そこに記入した住所が納税地になります。
自宅住所でも、バーチャルオフィスの住所でも、どちらの住所でも記入できるため、希望する住所を記入しましょう。
「納税地」や「納税地以外の住所他・事業所」にどちらか一方の住所しか書かないと、書かなかったほうの家賃(バーチャルオフィスなら利用料)や光熱費を経費として計上できません。
そのため、家賃(バーチャルオフィスの利用料)、経費や光熱費を計上したい場合は、自宅住所とバーチャルオフィスの住所を記載するのがおすすめです。
法人の納税地
法人は、「法人設立届出書」の「その法人の本店または主たる事務所の所在地」が納税地です。
本店所在地として届け出た住所を管轄する税務署で納税します。
本店所在地をバーチャルオフィスの住所にしても、自宅住所を事務所として届け出ると、自宅住所で納税することができます。
法人住民税という地方税について、注意すべき点があります。
自宅住所とバーチャルオフィスの住所を本店所在地、事務所所在地にすると、法人住民税を2か所で納めることになるケースがあるからです。
バーチャルオフィスは住所利用のためで、仕事は自宅でしているという事実を証明すれば、法人住民税を1つにできる可能性がありますので、税理士などの専門家に相談するといいでしょう。