バーチャルオフィスでどんな融資が受けられるの?
2023.10.17
起業するには、多額の資金が必要です。
自己資金だけでなく、金融機関から融資を受けたり、投資家から投資をしてもらったり、というように、さまざまな資金調達方法があります。
創業融資は、融資を受けやすい融資の1つです。
今回は、バーチャルオフィスで受けられる融資について解説します。
バーチャルオフィスで融資を検討している方は、参考にしてください。
バーチャルオフィスとは
バーチャルオフィスとは、物理的な事務所ではなく、事務所としての機能をレンタルできる「仮想の」事務所のことです。
昨今、働き方が多様化しており、事務所を借りないで、自宅やカフェなどで仕事をする人が増えています。
事務所を借りて、事務所へ行って仕事をする必要性が薄れてきていて、バーチャルオフィスの需要は非常に高まっています。
事務所を借りるより、バーチャルオフィスを利用したほうが、コストを大幅に抑えることができます。
また、事務所を借りるとなると、借りるまで最短で数週間はかかりますが、バーチャルオフィスを利用すると、すぐに会社の住所を取得できるため、スタートアップ企業や個人事業主に人気があります。
ですが、バーチャルオフィスには、事務所のように机と椅子が完備された仕事場はありません。
そのため、仕事は、自宅やカフェなどでして、バーチャルオフィスからは、事務所の住所をレンタルして、まるでその住所に事務所を構えているかのように、その住所をウェブサイトや名刺に記載したり、法人登記をすることができます。
バーチャルオフィスで受けられる融資とは
バーチャルオフィスが、知られるようになって、事務所がバーチャルオフィスであることを理由に、融資を断られることは少ないです。
では、バーチャルオフィスで受けられる融資には、どんな種類のものがあるのか見てみましょう。
新創業融資制度
「新創業融資制度」は、日本政策金融公庫で受けられる融資です。
日本政策金融公庫は、政府系金融機関の1つです。
経済の活性化を目的としており、他の金融機関よりも積極的に融資をしています。
新創業融資制度は、無担保・無保証人で利用できます。
バーチャルオフィスが事務所であるからといって、融資を断られることはありません。
対象者の要件
新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象者です。
新たに事業を始める場合、事業計画を適正に策定していて、計画を遂行する能力が十分あると認められる方に限定されています。
そのため、創業計画書を提出する必要があります。
自己資金の要件
新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時に、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方に限られます。
自己資金とは、事業に使用される予定の資金のことです。
ですが、勤務中の企業と同じ業種の事業を始める方や、産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方は、本要件を満たしているとされます。
資金の使い道
新たに事業を始めるため、または、事業開始後に必要とする設備資金および運転資金としての資金である必要があります。
融資限度額
返済期限
返済期限は、融資制度に定める返済期間以内です。
利率(年)
利率(年)は、融資制度・用途・融資期間・担保の有無などによって異なる利率が適用されます。
担保と保証人
担保と保証人は、不要です。
新創業融資制度で資金調達するメリット1 [経営に介入されない]
経営に介入されないことが、新創業融資制度で資金調達するメリットの1つです。
返済期日内に利息を含めた返済ができれば、自由に経営することができます。
資金を出資で調達をした場合、出資者が経営に介入することはよくあります。
他者に経営に介入されないで事業を展開したいのであれば、融資を受けることをおすすめします。
新創業融資制度で資金調達するメリット2 [設立直後の会社が資金を調達しやすい]
新創業融資制度は、「新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方」を対象とした創業時の融資です。
そのため、設立直後の会社が資金を調達しやすいというメリットがあります。
事業計画が実現できる内容であれば、実績がなくても融資を受けられる可能性が高いです。
通常の融資では、多くの場合、会社の規模や実績によって審査されるため、設立したばかりの会社は、審査が通りづらいことがよくあります。
新創業融資制度で資金調達するメリット3 [無担保・無保証人で最大3,000万円の資金が調達できる]
新創業融資制度は、無担保・無保証人で最大3,000万円の融資が受けられるメリットがあります。
事業融資は、一般的に、会社の代表者が連帯保証人になることがほとんどです。
ですが、新創業融資制度は、連帯保証人が不要で、担保も必要ありません。
新創業融資制度で資金調達するデメリット1 [返済期日に利息とあわせて返済する必要がある]
返済期日までに利息込みの金額を返済しなければいけません。
事業が予定通りうまくいっているのであれば問題ありませんが、うまくいっていないと、返済できなくなってしまうことが想定されます。
新創業融資制度で資金調達するデメリット2 [金利が少し高い]
新創業融資制度の利率は、資金の使い道や返済期間、担保の有無によって異なりますが、自治体の融資と比較すると、金利が少し高いです。
自治体の融資は、利子の一部を負担するといった優遇措置を実施していることが多いため、実質の利率は、制度の利率よりも低くなることが多いです。
ですが、金融機関からの融資と金利が比較すると、利率は低いことが多いです。
そのため、会社の設立直後に融資を受ける場合、新創業融資制度は、選択肢の1つになるでしょう。
新創業融資制度で資金調達するデメリット2 [融資金額に上限がある]
新創業融資制度の金額は、最大で3000万円です。
事業の規模によっては、資金が足りないことがあるでしょう。
新創業融資制度で資金を調達できないのであれば、複数の融資も利用したり、出資や補助金制なども検討してみるといいでしょう。
あっせん融資制度
あっせん融資制度とは、市区町村のあっせんを受けて、金融機関が定める範囲内で、信用保証協会の保証を得て融資することです。
市区町村・金融機関・信用保証協会が、融資をします。
上記3つの機関の許可がないと融資を受けられないため、融資を受けるのに時間がかかります。
市区町村
市区町村は、融資の利息を補助し、低金利で融資が受けられるようにします。
事務所がバーチャルオフィスであると、あっせん融資を断られることがあるため、注意しましょう。
ですが、市区町村によって判断が異なり、渋谷区では融資可能であっても、他の区では融資不可と判断されることがあります。
あっせん融資を受ける前に、会社の所在地の市区町村へ問い合わせてみるといいでしょう。
金融機関
金融機関が融資をしますが、金融機関やその支店によって、融資ができるかどうかの判断が異なります。
そのため、融資を受けれるかどうかに不安のある方は、あっせん融資を申し込む前に、金融機関に相談してみるといいでしょう。
信用保証協会
信用保証協会は、中小企業などへスムーズに資金を調達する公的機関のことです。
一般的に、会社の代表者が、融資の連帯保証人になります。
ですが、信用保証協会に保証してもらうと、信用保証協会が連帯保証人になります。
信用保証協会に保証料を支払わなければいけませんが、返済ができなくなった場合、信用保証協会が返済してくれます。
東京都中小企業制度融資「創業」
東京都中小企業制度融資である「創業」は、東京都・東京信用保証協会・金融機関の3つの機関が連携して融資する制度です。
新規の創業資金や創業後の事業資金の融資を受けることができます。
対象者の要件
都内に事業所(個人事業者は事業所か住所)があって、東京信用保証協会の保証対象業種を営む中小企業者で、以下の3点のうち1つに該当する方が対象です。
1.現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有している
2.創業した日から5年未満である中小企業者等
3.分社化しようとする会社又は分社化により設立された日から5年未満の会社
融資限度額
融資限度額は、3500万円です。
返済期限
設備資金の返済期限は、10年以内です。(※据置期間1年以内を含む)
運転資金の返済期限は、7年以内です。(※据置期間1年以内を含む)
女性・若者・シニア創業サポート事業
女性・若者・シニア創業サポート事業は、東京都でおこなわれている融資制度です。
ですが、東京都が創設した制度のため、東京都内の事業者だけに適用されます。
対象者の要件
対象者の要件は、以下の通りです。
・女性、39歳以下の若者、55歳以上のシニアで、創業計画がある者、または、創業後5年未満の者(代表者)
・個人事業主、株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人 など
・東京都内に、本店又は主たる事業所を置いていて、創業事業であること
・創業規模は中小企業者の範囲に合致し、大企業が実質的に経営を支配していないこと
・地域の需要や雇用を支える事業であること
・公序良俗に問題のある事業であって、風俗業などでないこと
・現在、将来にわたって暴力団等反社会的勢力に該当しないこと
・法令等で定める租税についての未申告、滞納がないこと
※個人で創業し、同一事業を法人化した者で、個人で創業した日から5年未満の者も含まれます。
※本事業の取り扱いは、令和16年3月までで、融資は令和6年3月まで実行されます。
※複数金融機関から本事業の融資を受けることはできません。
融資限度額
融資限度額は、1500万円以内です。
運転資金だけの融資限度額は、750万円以内です。
返済期限
返済期限は、10年以内です。(据置期間は、3年以内です)
利率(年)
利率(年)は、固定金利1%以内です。
担保
担保は、無担保です。
保証人
法人の保証人は、代表者個人ですが、保証人はいなくても問題ありません。
個人事業主の保証人は、不要です。
融資以外の資金調達方法とは
これまでみてきたように、融資は、資金調達をしやすいというメリットがあります。
ですが、融資以外にも資金を調達する方法があります。
では、融資以外の資金調達にどんな方法があるのか見てみましょう。
出資
出資とは、ベンチャーキャピタルや投資家が事業の成功や成長を期待してお金を出すことです。
出資の対価として、出資者に株式を提供することがよくありますが、それぞれの取り決めによって異なります。
お金を借りるわけではないので、返済の必要はありません。
出資してもらった投資家からアドバイスを受けることもあります。
ですが、出資者が株式を保有している場合は、株主の意向に沿った経営をする必要があります。
補助金と助成金
補助金と助成金は、国や地方公共団体が政策を推進するために提供する資金のことです。
返済不要で、担保や保証人を求められることもなく、金利もないため、もらえるお金です。
ですが、申請や審査が必要で、要件を満たせなければ補助金や助成金を受けることはできません。
後払いのため、創業時の資金調達には向いていないと言えるでしょう。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネットで不特定多数の人々から資金を調達することです。
「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語です。
資金調達といえば、一般的に金融機関からの借入や関係者・ベンチャーキャピタルによる出資などがあげられます。
金融機関からの資金調達とは異なり、クラウドファンディングは、手軽でテストマーケティングにも使えることがメリットで、新たな資金調達の仕組みとして注目されています。
「こんな便利なグッズを作りたい」といったアイデアを持っている人が起案者として発信でき、応援したいと思った人が支援者として支援できます。
まとめ
昨今、バーチャルオフィスの利用者が増えて、金融機関に、事務所がバーチャルオフィスと言っても驚くことがなくなってきています。
融資を受けられるかどうかの大事なポイントは、事務所がバーチャルオフィスであるかどうかではありません。
「返済能力があるか」「信用できるか」が、しっかり審査されて融資されるかどうかが決まるのです。
業績をきちんと説明して、返済能力があることを証明できるように準備するといいでしょう。
バーチャルオフィスの検討にあたって何かお困りのことがございましたら、バーチャルオフィスブルームにお気軽にお問い合わせください。