コラム

パワハラ防止法施行で何が変わるのか?企業が求められる対応は?

2024.07.11

2020年6月1日に施行された「パワハラ防止法」によって、職場におけるパワーハラスメントの防止対策が強化されました。

 

これまで曖昧だったパワハラ行為を法律で定義して、企業が具体的な防止措置をすることが義務づけられました。

 

2022年4月からは、中小企業にも施行されました。

 

自社のパワハラ防止対策がきちんと機能しているのかどうかを、不安に思う管理職の方も多いかもしれません。

 

そこで、今回は、パワハラ防止法に対して、企業が対応すべきことについて解説します。

パワハラ防止法とは

パワハラ防止法とは、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」のことで、略して「労働施策総合推進法」と呼ばれています。

 

職場におけるいじめ・嫌がらせを防止するための法律です。

 

大企業は2020年6月1日に施行されましたが、中小企業は努力義務期間を経て2022年4月からの施行となりました。

 

厚生労働省は、下記3つを満たすものを職場における「パワーハラスメント」と定義しています。

 

・優越的な関係を背景とした言動

・業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの

・労働者の就業環境が害されるもの

 

パワハラの代表的な6類型とは

どのような行為がパワハラに該当するのかを知っておかないと、パワハラを防止できません。

 

厚生労働省が示している職場におけるパワハラの代表的な行為は、以下の6つの類型です。

身体的な攻撃

殴打や足蹴りをしたり、物を投げつけたりする。

精神的な攻撃

人格を否定するような発言や脅迫をする。

 

業務遂行に関して、長時間にわたる厳しい叱責を繰り返す。

 

罵倒するような内容のメールを本人や複数の従業員に送る。

人間関係からの切り離し

仲間外れや無視をするなどの言動をして特定の個人を孤立させる。

過大な要求

業務上明らかに必要のないことや到底遂行できないようなことを強制する。

過小な要求

本人の能力や経験に見合わない質の低い業務をさせたり、仕事を与えない。

個の侵害

プライベートに過度に立ち入る。

 

例)

 

・勤務時間外にSNSで休日の過ごし方を聞く
・私物を撮影する
・スマホを勝手に見る
・個人情報を本人の同意なしで他の従業員に話す
・しつこく飲み会に誘う

パワハラ防止法で何が変わる?

パワハラ防止法によって、何が変わることになったのかを以下で見てみましょう。

パワハラの定義が明文化された

パワハラ防止法の改定によって、厚生労働省が、「パワハラ指針」を公表しました。

 

それによると、パワハラとは、「職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。」ということを指します。

 

ここにおける「職場」とは、オフィスだけではなく、出張先や強制参加の宴会の席なども該当する可能性がある点に注意しましょう。

パワハラ防止に必要な措置が義務づけられた

パワハラ防止法の改定によって、企業は、パワハラ防止に雇用管理上必要な措置を取ることが義務づけられました。

 

大企業は2020年6月1日から、中小企業については2022年4月1日から施行開始となり、中小企業については2022年3月31日までは努力義務期間となりました。

 

パワハラ防止に必要な措置とは、厚生労働省の指針で以下のように定められています。

 

・事業主の方針などの明確化およびその周知・啓発

・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

・職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

・そのほか、あわせて講ずべき措置

パワハラ相談による不利益な取り扱いが禁止された

パワハラ防止法によって、パワハラの相談や相談の際に述べた事実を理由とする不利益な取り扱いの禁止が明文化されました。

 

不利益な取り扱いとは、例えば、解雇や降格、異動などが挙げられます。

 

労働者が躊躇しないで相談できるように、不利益な取り扱いを禁止しています。

 

この規定に関しては、大企業・中小企業に関係なく、2020年6月1日が施行期日です。

パワハラ防止法施行で企業が行うべきこととは

パワハラ防止法の施行によって、企業は何をしなければいけないのでしょうか。

 

企業がパワハラ防止のために講ずべき措置について解説します。

パワハラに関する方針の策定と周知

パワハラ防止に向けた企業の方針やパワハラの対応に関する規定を作り、従業員に周知・啓発しましょう。

 

例えば、就業規則にパワハラをしてはいけないという方針を明記したり、パワハラ行為者に対する懲戒規定などの策定が挙げられます。

 

企業がパワハラを許さないという方針であることと、行為加害者にはこのような罰があるということを従業員に周知することで、パワハラ防止の効果が高まります。

パワハラ研修を実施

企業は、パワハラを防止するために、社内方針で、パワハラをしてはいけないことを明確にし、従業員に周知・啓発するために、ホームページや社内報で発信したり、パワハラに関する研修を全従業員に実施することが重要です。

 

従業員の理解度を確認するため、 受講後にテストをすると、より効果的です。

相談窓口の設置

パワハラ防止策として、ハラスメントに関する相談窓口を設置する必要があります。

 

具体的には、以下のことをします。

 

・相談窓口の担当者が決める

・相談後の対応フローを決める

・担当者には相談者のプライバシーを守り、マニュアルどおりに対応できる教育を受けさせる

 

自社で相談窓口を設置できない場合は、相談窓口の外部に委託することもできます。

対応フローの整備

相談後の対応の流れを整備しておくことも重要です。

 

そうすることで、パワハラが発生してしまった際に、迅速に対応でき、被害者の状態悪化を回避できます。

 

対応フローが整備・周知されていると、従業員は相談しやすくなります。

行為者や被害者への適正な措置

パワハラがあったと認定された場合、パワハラ行為者や被害者に適正な措置をする必要があります。

 

例えば、厚生労働省「職場におけるハラスメント関係指針」によると、以下の措置が挙げられます。

 

  • 就業規則に基づき、行為者への厳正な処分
  • 行為者と被害者の関係改善のための援助
  • 行為者と被害者を引き離すための配置転換
  • 行為者の謝罪
  • 被害者の労働条件上の不利益の回復
  • 被害者の労働条件上のメンタルヘルス不調への相談対応など

パワハラ防止法に違反したら、罰則はあるの?

パワハラ防止法に違反しても罰則はありません。

 

ですが、厚生労働大臣が必要と認めた場合、事業主に助言・指導や勧告が行われることがあります。

 

事業主が勧告に従わない場合、企業名を公表されます。

 

企業名の公表は、社会的信用を損い、企業の業績に大きなダメージを与えるでしょう。

 

そのため、真摯に取り組むべき問題として意識することが大切です。

まとめ

パワハラは、どのような職場でも起こりえますが、企業がパワハラを許さないことを明確にして、パワハラ対応を整備すると、従業員は安心して働くことができます。

 

そのためには、全従業員がパワハラについて正しく理解し、パワハラ防止の意識を持ち、行動することが重要です。

 

従業員が安心して働くことができるように、パワハラ防止対策について取り組みを進めていきましょう。

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