コラム

サービス残業を自主的に行うリスクとは?発生する理由や防止策を解説

2024.07.17

サービス残業は、企業と従業員にとって、さまざまなリスクをもたらす行為です。

 

サービス残業は、労働基準法違反を理由に違法なものと判断されているからです。

 

従業員が自主的にサービス残業をした場合も、労働基準法違反とみなされるという点に注意する必要があります。

 

今回は、サービス残業の定義や具体例、従業員による自主的なサービス残業を防止する対策などについて解説します。

サービス残業とは

サービス残業とは、適切な賃金が支払われない時間外労働のことです。

 

ですが、労働基準法第32条において労働時間は週に40時間、日に8時間を超えないように定められており、この時間より長く働く場合は、時間外労働とされて割増賃金の支払いが必要になります。

 

法定時間を超えていても正当な賃金の支払いをされないサービス残業は、労働基準法の重大な違反行為です。

 

自主的にサービス残業をする人は、「残業代が出なくても問題ない」と考える人が多いのですが、本人の意思による自主的なサービス残業であっても問題がないわけではなく、サービス残業自体をすることは避けなければいけません。

自主的なサービス残業の例

どうすると、自主的なサービス残業に当たるのでしょうか。

 

以下で確認しましょう。

家に持ち帰って仕事をする

就業時間内にできなかった業務を家に持ち帰って終わらせたり、仕事帰りにカフェなどで仕事をすることです。

 

会社の就業時間内に終わらせる必要がありますが、それが難しい状況に、このようなことが起こります。

 

テレワークが認められていない場合、仕事を持ち帰ることがルール違反になるため、注意しましょう。

残業時間を正しく申告しない

実際の残業時間より短く申告するなど、適正な申告が行われていないケースがあります。

 

数分だけの残業だったから、残業を申告しなかったというケースがありますが、所定労働時間を1分でも過ぎれば、時間外労働となります。

 

残業代は、1分単位で計算されるべきであるため、終業時間後に仕事をしたら、正しく申告しなければいけません。

時間外に社外で打ち合わせをする

就業時間外に社外で打ち合わせをすることは、サービス残業に該当する可能性があります。

 

また、取引先と食事をしながらの打ち合わせをしても、サービス残業として見なされます。

テレワーク中に残業を申告しない

テレワーク中に残業をしても申告しないことも、自主的なサービス残業になります。

 

テレワークでは、仕事をしている従業員の姿が見えないため、本人の申告がなければ、残業をしていることに気づきにくい状態です。

 

また、テレワークでは、仕事とプライベートの線引きが難しく、残業がダラダラと長くなりがちな点も問題です。

自主的なサービス残業による従業員のリスク

自主的なサービス残業といっても、企業の指揮管理下にあったと判断される場合があり、そうなると、労働基準法違反による処罰を受ける可能性があります。

 

従業員と企業の双方にリスクがあることを踏まえて、そのような環境を改善する必要があります。

 

自主的なサービス残業をすることによって、従業員にどのようなリスクが生じるのか、以下で解説します。

労働基準法違反で会社が処罰を受ける可能性がある

業務命令でない残業の場合、企業が残業代を支払う義務はありません。

 

ですが、業務過多や偏りが原因で従業員に負担がかかり、残業せざるを得ない状況であったような場合は、命令があったと認められるケースがあります。

 

そうなると、企業が違法なサービス残業をさせていたという理由で処罰を受ける可能性があります。

正しい評価を受けられない

自主的なサービス残業は、残業をする従業員や周りの従業員などが正しい評価を受けられなくなります。

 

自主的なサービス残業をすると、決められた労働時間よりも長い時間働いていることになり、労働時間に対する成果の評価が変わります。

 

そのため、実際よりも能力を過大評価されたり、能力以上の仕事を割り振られてしまうことになりかねません。

 

また、周りの従業員にとっても、サービス残業をする従業員がいることで上司の評価基準が変わってしまい、正しい評価を受けられないという迷惑をかけてしまいます。

情報漏洩リスクがある

自主的なサービス残業は、情報漏洩などのリスクが高くなります。

 

持ち帰り残業の場合、書類やデータを社外に持ち出すため、紛失や破損による情報漏洩の可能性が高まります。

 

自主的なサービス残業によって、セキュリティトラブルが発生すれば、サービス残業をした従業員だけでなく、上司の責任も問われ、会社の信用問題に関わる事態に発展しかねません。

自分の成長につながらない

自主的なサービス残業は、自分の成長を妨げてしまいます。

 

自主的なサービス残業を日頃からしていると、時間内に仕事を終わらせるという意識が欠如するため、効率が下がったり、時間内に仕事を終わらせる能力が身につかなくなってしまいます。

 

自主的なサービス残業をすると、労働時間が長くなり、心身に不調が出てしまい、パフォーマンスが下がってしまいます。

 

サービス残業に対する罰則

従業員が自主的にサービス残業をしたら、罰則が適用されます。

 

サービス残業をした場合に適用される罰則には、どのようなものがあるのか、見てみましょう。

労働基準法に則った罰則

サービス残業は、労働基準法第37条に違反する行為のため、懲役6ヶ月以下または30万円以下の罰金が課せられます。

 

サービス残業をしたら、すぐに罰則が適用されるのではありませんが、労働基準監督署による調査や臨検が実施され、改善されないと、罰則が課されます。

未払いの残業代や遅延損害金と付加金の支払い

サービス残業は、未払いの残業代であるため、従業員が残業代を請求したら、企業は、3年分の残業代をさかのぼって、支払う必要があります。

 

未払い残業代について、従業員と裁判で争うことになり、企業が敗訴したら、遅延損害金や付加金の支払いを課される可能性もあります。

自主的なサービス残業をなくす方法

自主的なサービス残業は、企業や従業員にさまざまな悪影響を及ぼすため、発生しない対策を講じることが必要です。

 

具体的な対策を以下でご紹介します。

サービス残業禁止を周知する

サービス残業禁止を周知しましょう。

 

掲示物や社内メール、ミーティング時に、サービス残業禁止や労働時間に関するルール、サービス残業のリスクなどについて周知しましょう。

 

労働時間管理の責任者を明確にして組織化して実施すると、効率的にサービス残業防止に向けた対策を進めることができます。

業務の効率化を図る

残業が発生しないように、業務の効率化を図りましょう。

 

業務内容を見直すと、無駄な作業を削減できるかもしれません。

 

また、能力以上の業務量を割り振られている場合は、上司に相談して業務内容を見直してもらいましょう。

勤怠管理システムを活用する

サービス残業を防止するには、従業員の労働時間を正確に管理する必要があります。

 

クラウド勤怠管理システムを導入すれば、全従業員の勤怠状況を簡単に管理できるでしょう。

 

また、タイムカードとPCのログを照らし合わせることも有効です。

 

コミュニケーションをしっかりとる

進捗報告や雑談なども含めて、日頃から部下とのコミュニケーションを大切にすることで、自主的なサービス残業を防いだり、自主的なサービス残業に気づくことができます。

 

従業員の意思でしているサービス残業と言っても、問題が発生したら、上司としての責任も問われるでしょう。

 

疑問があれば気軽に相談できるように、日頃から円滑なコミュニケーションを心がけましょう。

まとめ

自主的なサービス残業は、企業と従業員にさまざまな悪影響を及ぼします。

 

特に、持ち帰って仕事をする場合は情報漏えいなどのリスクもあり、労働基準法違反だけでなく企業の信用問題に発展する恐れもあります。

 

サービス残業禁止を周知したり、業務の効率化を図ったりして、サービス残業をなくすようにしましょう。

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