名ばかり管理職とは?違法性・対応策・管理監督者との違いについて解説
2024.08.19
名ばかり管理職が、社会問題になっていますが、どんな問題があって、何が起こっているのかご存じでしょうか。
名ばかり管理職の問題を抱えていることは、企業のイメージダウンや従業員のモチベーション低下にもつながってしまいます。
今回は、名ばかり管理職の違法性、対応策、管理監督者との違いについて解説します。
名ばかり管理職とは
名ばかり管理職とは、管理職の権限が一切ないにもかかわらず、管理職の肩書きがあるため、残業代が支払われない管理職のことです。
「みなし管理職」とも呼ばれています。
名ばかり管理職と管理監督者の違い
労働基準法では、管理監督者とは「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」と定められています。(引用:e-Gov 労働基準法 第四十一条)
以下のすべての条件に当てはまる管理職が、管理監督者になります。
・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること
・労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること
・現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
・賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること
引用: 厚生労働省都道府県労働局労働基準監督署「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」
上記条件のうち、1つでも該当せず、管理職として割増賃金が支払われていない場合は、名ばかり管理職とみなされます。
管理監督者は経営者と一体的な立場である
管理監督者は労働時間についての裁量権がある
管理監督者は地位に見合った賃金上の待遇がある
名ばかり管理職で生じる問題
名ばかり管理職は、なぜ問題なのでしょうか。
以下で見てみましょう。
残業代が支払われない
長時間労働になる
長時間労働になりやすい職場では、人件費削減のため、名ばかり管理職の労働時間がますます長くなってしまう傾向にあります。
残業時間の多い従業員を名ばかり管理職にすると、企業は、残業代を支払わずに済み、残業代の負担がなくなるからです。
残業が長くなることも、残業代が支払われないことも大問題です。
給与が一般従業員より低い
役職手当が与えられず、残業代も支払われない名ばかり管理職は、一般従業員と比べて給与が少なくなることがあります。
肩書上は管理職で、一般従業員よりも仕事の負担は多いのに、労働量や職務に見合った給与が支給されていないため、管理職になることが減給につながってしまいます。
ストレスや体調不良になりやすい
名ばかり管理職は、長時間労働によって、ストレスが溜まりやすいため、体調不良になりやすいです。
また、残業代が出なかったり、管理職なのに一般従業員と同じ仕事をしていると、さらに心身に負担がかかります。
スキルや能力を伸ばしにくい
名ばかり管理職の業務内容は、一般従業員と変わらないことが多いため、役職に見合ったスキルや能力を伸ばしにくいです。
また、長時間労働による疲れのせいで、スキルアップ意欲も低下してしまいます。
したがって、管理職にもかかわらず、マネジメント能力を身につけられず、今後のキャリアにも影響が出てしまいます。
名ばかり管理職を防ぐための対策法
どうすれば名ばかり管理職を防ぐことができるのでしょうか。
企業は、名ばかり管理職の問題を放置できませんし、名ばかり管理職を生み出さないような対策を考える必要があります。
管理職を生み出さないための対策をご紹介します。
管理職の待遇が適正であるかどうかを確認する
管理職の待遇が適正であるかを確認しましょう。
以下の場合は、名ばかり管理職となっている可能性があります。
・管理職の給与が一般従業員と比べて低い
・管理職になってから支給される給与が減った
・役職手当が職務に見合っていない少額である
もし、このような実態があれば、管理職の待遇を見直すようにしましょう。
労働時間の裁量権があるかどうかを確認する
管理職が自身の労働時間について裁量権があるかを確認しましょう。
以下の場合は、名ばかり管理職である可能性があります。
・管理職が遅刻や早退をすると、その分が減給されてしまっている
・決まった時間に出社しなければならない
・労働時間が決められていたり、タイムカードなどで管理されている
・自身の裁量で労働時間を決められない
このような状態である場合、十分な裁量を持たせられるように改善しましょう。
管理職権限を確認する
管理職に与えられた権限が、経営者と一体の立場にあるといえるほどの重要性があるかを確認しましょう。
以下の場合は、名ばかり管理職である可能性があります。
・自身の部署や店舗の意思決定権はあるが、本社の経営方針には意見を言えない
・採用面接は管理職がおこなっても、上司の決裁を仰がなければ決定できない
・重要な会議へ参加できない
・昇進、昇給について決定権がない
・部下の労務管理上の決定権がない
・部下の人事評価権がない
これらの権限を持たしていない場合は、見直しをしましょう。
名ばかり管理職が取るべき対応策
証拠を集める
企業と話をする
自分が名ばかり管理職であると思ったら、企業と話し合いましょう。
経営陣や人事担当者が現場の実態を知らなかったり、労働基準法上の管理監督者についてよく理解していないこともあります。
自分の状況を説明し、問題を指摘して改善を要請するだけで、労働環境や待遇の改善が期待できることがあります。
外部に相談する
企業が話し合いに応じなかったり、話し合いで決着がつかなかった場合は、外部に相談しましょう。
証拠を持って労働基準監督署に相談すれば、企業に調査や指導が入り、労働環境や待遇の改善が期待できます。
労働基準監督署に相談しても改善しなかった場合や、法的手段に出る場合は、弁護士に相談しましょう。
退職を検討する
企業との話し合いで、名ばかり理職の問題が改善や解決ができることが望ましいですが、難しいこともあるかもしれません。
名ばかり管理職問題が起きる企業は、ブラック企業である可能性があります。
日々の業務とは別に、会社と向き合わなければいけないことは、ストレスが溜まってしまうでしょう。
心身の不調を招く前に、退職を視野に入れることもひとつの対策です。
まとめ
名ばかり管理職は、従業員の心身の健康を害するだけではなく、訴訟になると、企業の大きなイメージダウンにつながります。
そのため、企業は名ばかり管理職を生み出さないように、対処する必要があります。
従業員にとって、働きやすい職場にするためにも、名ばかり管理職の問題を把握して、名ばかり管理職が発生しないように労働環境や社内制度を整えましょう。
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