ハラスメントとは?定義や種類、原因や企業がすべき対処法を解説
2024.09.22
働き方の多様化や、働きやすい職場作りへの機運が高まっている現在、職場でのハラスメントに対して厳しい視線が注がれています。
「ハラスメント」という言葉を耳にする機会も増えてきましたが、「セクハラ」「パワハラ」だけでなく、最近では、さまざまなハラスメントが続々と出現しています。
種類が細分化傾向にあることから、ハラスメント対策が難しいと考える人事担当者もいるでしょう。
今回は、ハラスメントの定義や種類、原因や企業がすべき対処法などを解説します。
ハラスメントとは
ハラスメント(harassment)とは、身体的・精神的な攻撃をして、他者に不利益・ダメージを与えたり、不愉快にさせることを意味します。
いやがらせやいじめのことです。
現在、50種類以上のハラスメントが存在すると言われています。
ハラスメントは、職場の人間関係の悪化、生産性の低下、休職・離職や企業のイメージダウンによる人材不足を引き起こすため、見過ごすことができない問題です。
国もハラスメントを問題視しており、法改正によってハラスメント対策を義務化しました。
ハラスメントに関わる法令には、以下のものがあります。
・労働施策総合推進法・・・パワーハラスメント防止対策の強化を目的としている
・男女雇用機会均等法・・・雇用における男女の均等な機会と待遇を確保することを目的にしている
・育児・介護休業法・・・従業員が育児や介護と仕事を両立しやすいよう、事業主がさまざまな施策を行うことを定めた法律
職場で発生しやすいハラスメントの種類
ここでは、職場で発生しやすいハラスメントの種類と特徴をご紹介します。
パワハラ(パワーハラスメント)
職場におけるパワハラ(パワーハラスメント)は、役職や権力を持った優位な立場にある人が、業務上の範囲を超えた言動によって、従業員の就業環境を損なう行為のことです。
パワハラというと、「上司から部下に」、または「先輩から後輩に」といった、上の立場の者が下の立場の者にする行為をイメージする方も多いでしょう。
ですが 、他部署から異動してきた上司に嫌がらせをする逆パワハラ(逆パワーハラスメント)や、同僚や部下が集団で嫌がらせをするケースもあります。
カスハラ(カスタマーハラスメント)
カスハラ(カスタマーハラスメント)とは、顧客が企業の商品やサービスに対して理不尽なクレームや言動をすることです。
例えば、「企業に落ち度のない、顧客都合による返金要求をする」「暴言を浴びせる」といったことが挙げられます。
改善要求の理由と内容に妥当性があれば、カスハラにはあたりません。
モラハラ(モラルハラスメント)
モラハラ(モラルハラスメント)は、職場の立場や優位性を問わず、言葉や態度で相手に継続して精神的な苦痛を与える行為です。
例えば、「周りに聞こえるように過剰に叱責する」といったことが挙げられます。
モラハラは、身体的な暴力ではないため、周囲に気づかれにくいことが問題視されています。
セクハラ(セクシャルハラスメント)
セクハラ(セクシャルハラスメント)は、性的な言動を通して、相手を不快にさせる嫌がらせのことです。
性的な関係を要求されて断ったら、不当な処遇を受けたという事案もセクハラに当たります。
女性が被害者になることが多いですが、男性が被害者になったり、同性同士のトラブルなども増加していて、セクハラが多様化しています。
マタハラ(マタニティハラスメント)
マタハラ(マタニティハラスメント)とは、妊娠中や出産前後の女性に対する嫌がらせのことです。
例えば、「産休制度の利用を拒否する」といったことが挙げられます。
国による対策がおこなわれており、マタハラ防止のために法律の整備が進んでいます。
アルハラ(アルコールハラスメント)
会社の飲み会などで、飲酒の強制や一気飲みのコールをして、度を越してしまうとアルハラ(アルコールハラスメント)に該当します。
また、飲酒できない従業員に、「酒が飲めないなんて人間じゃない」というのもアルハラになる可能性があるため、注意したほうがいいでしょう。
リモハラ(リモートハラスメント)
リモハラ(リモートハラスメント)とは、リモートワーク中に起こるハラスメントのことです。
例えば、「連絡が取れないとさぼっていると怒られる」「進捗報告を過度に求める」といったことが挙げられます。
ジェンハラ(ジェンダーハラスメント)
ジェンハラ(ジェンダーハラスメント)とは、性別を理由にした差別や嫌がらせのことです。
例えば、「特定の業務を男女どちらかだけに対応させること」や、「LGBTQなどへの差別」があげられます。
ジタハラ(時短ハラスメント)
ジタハラ(時短ハラスメント)とは、残業削減に関する方法がないのに、管理職が従業員に「残業しないで早く帰るように」と定時退社を強要することです。
働き方改革の推進によって、企業が長時間労働を是正するようになりましたが、具体的な方法がないのに、労働時間だけを短縮されると、サービス残業をしたり、仕事を持ち帰って自宅で仕事をしなければいけなくなってしまいます。
そうなると、従業員の心身に大きな負担がかかります。
また、サービス残業をすると、労働に対する賃金が払われないだけでなく、サービス残業は違法行為でもあるので、問題です。
パタハラ(パタニティハラスメント)
パタハラ(パタニティハラスメント)は、マタハラの男性版で、育児休業を取得することを阻害したり、育児休業を取った男性従業員に対して嫌がらせをすることです。
男性も育児参加すべきという社会の風潮に伴って、注目されるようになりました。
ロジハラ(ロジカルハラスメント)
ロジハラ(ロジカルハラスメント)とは、正論によって相手を追い詰めて、言い負かし、不愉快な気分にさせる行為です。
論理的に説明して、仕事を進めることには問題ありませんが、マウントをとる趣旨で正論をぶつけたり、侮辱的な発言があると、ロジハラに該当するおそれがあります。
「自分が絶対に正しい」という思い込みが強い人は、相手の気持ちに寄り添って発言することが難しいので、注意したほうがいいでしょう。
エイハラ(エイジハラスメント)
エイハラ(エイジハラスメント)は、年齢のことで相手を中傷したり、悪口を言うことです。
例えば、中高年従業員が若手従業員に「若いからこれくらいのことはできるだろう」と仕事を強要したり、若手従業員が中高年従業員を「年いってるのに、こんなに簡単な仕事もできないの?」と揶揄することが挙げられます。
スモハラ(スモークハラスメント)
スモハラ(スモークハラスメント)とは、非喫煙者に健康被害を与えたり、不快な思いをさせるような嫌がらせをすることです。
非喫煙者の近くで、断りもなくたばこを吸ったり、非喫煙者に喫煙を強要するような行為が挙げられます。
スメハラ(スメルハラスメント)
スメハラ(スメルハラスメント)とは、ニオイに関するハラスメントです。
例えば、口臭や体臭、香水、柔軟剤などのニオイが強くて、相手に不快感を与えることが挙げられます。
音ハラ(音ハラスメント)
音ハラ(音ハラスメント)は、周囲が不快な思いをする音を出すハラスメントです。
例えば、大声で話をしたり、ドアを思いきり閉めて大きな音を出すことが挙げられます。
ですが、音を出している当事者は自覚していないこともよくあります。
ハラハラ(ハラスメントハラスメント)
ハラハラ(ハラスメントハラスメント)は、業務上適切な指導をしているのに、ハラスメントと騒ぎ立てることです。
本人の被害者意識が強かったり、指導とハラスメントの区別がついていないことが原因です。
「少しでも厳しいことを言うとハラスメントになる」「よくなってほしいと思ってアドバイスしたのに逆恨みされる」など、ハラハラは、管理職の悩みになる事象です。
企業が、部下の指導やアドバイスの範囲を明確にしておく必要があります。
テクハラ(テクノロジーハラスメント)
テクハラ(テクノロジーハラスメント)は、パソコンやITスキルの高い従業員が、パソコンやITスキルの低い従業員に対して、作業スピードや知識の低さを馬鹿にして、相手を不快にさせることです。
パソコンやITスキルの低い中高年従業員に対するよく行われる言動ですので、年齢層が広い職場では、注意したほうがいいでしょう。
ハラスメントが起きる原因
ハラスメントの加害者は、ハラスメントに対する知識が不足しているせいで、自分の発言や行動がハラスメントであると認識していないことがほとんどです。
では、ハラスメントが起きる原因を見てみましょう。
ハラスメントについての知識不足
ハラスメントの知識が不足していると、気づかずに相手を傷つけてしまうことがあります。
パワハラなどの言葉は知っていても、何がハラスメントになるのかを知らなければ、ハラスメントをしてしまうこともあり得ます。
また、ハラスメントの知識がないせいで、自分と他の従業員間にハラスメントはないと思ってしまっている可能性もあります。
ハラスメントを予防するには、研修などを実施して、しっかりとした知識を得ることが大切です。
コミュニケーションのしかたが間違っている
ハラスメントの原因には、適切なコミュニケーションの取り方を知らないことも挙げられます。
コミュニケーションで、相手が不快に感じていることに気づかず自分本位に話していたら、ハラスメントとみなされる言動をとってしまう恐れがあります。
ハラスメントを防ぐには、相手に配慮することが大切です。
アンコンシャス・バイアスである
アンコンシャス・バイアスも、ハラスメントの原因として挙げられます。
アンコンシャス・バイアスとは、自分が意識していない固定観念で相手に接してしまうことです。
例えば、「「男性は育児より仕事をするべきだ」という偏見を持っていると、「男性に育児休業を取得させない」といった無自覚なハラスメントを引き起こすおそれがあります。
アンコンシャス・バイアスは、育ってきた環境や経験などによって生じるので、簡単に取り除くことはできません。
このようなハラスメントを予防するには、今の価値観を把握して、自分を振り返る必要があるでしょう。
企業がすべきハラスメント対策とは
企業がすべきハラスメント対策をご紹介します。
適切なハラスメント対策を講じ、ハラスメント予防を徹底しましょう。
ハラスメントに関するルールを定めて周知する
企業が明確なルールを設けて、周知すると、ハラスメ ントを予防できます。
例えば、就業規則等に以下の内容を記載します。
・ハラスメントの内容
・ハラスメントをしてはいけない
・ハラスメントの加害者に対しての措置
また、全社でハラスメント予防への意識を高めなければいけません。
ハラスメント防止を記載するパンフレットなどには、ハラスメントの原因や利用できる制度なども記載しましょう。
研修を受講させる
従業員にハラスメントの対応を任せるのではなく、ハラスメントに詳しい従業員や外部講師から、ハラスメントについて学ぶ研修を設けます。
ハラスメントの研修を受講することで、ハラスメントについての知識を得るだけでなく、ハラスメントへの関心も高めることができるでしょう。
相談窓口を設置する
ハラスメントが起こってしまったら、トラブルにならないように、社内にハラスメントの相談窓口を設置します。
相談窓口の担当者は、事案について口外しない人物が求められます。
相談窓口の担当者は、会社の規模によって、複数人を選んでおけば、「あの担当者には相談しづらい」という理由で、相談窓口が利用されない事態を回避することができます。
ハラスメントが起きたときの対処法
ハラスメント予防の啓発などをしていても、ハラスメントは起きてしまうかもしれません。
ハラスメントが発生したら、被害者の気持ちに寄り添いながら解決に向けた対応をする必要があります。
ハラスメントが起きた時の対処の流れは、以下のとおりです。
1. 被害者と加害者から事情を聴取をして、事実関係を明確にする
2. 必要に応じて、被害者のメンタルヘルス不調への相談対応をする
3. ハラスメントの対応方針を決定し、被害者へフィードバックする
4. 就業規則等の規定に基いて、加害者に懲戒等の措置を講じる
5. 職場でのハラスメントに関するルールを改めて周知・啓発し、再発防止策をする
まとめ
ハラスメントは、年々増えています。
そのため、適切なハラスメント対応ができないと、従業員のメンタルヘルスの悪化や離職だけでなく、訴訟に発展するリスクもあります。
職場でのハラスメントは、顕在化しづらいので、ハラスメントに対する正しい知識を持って、企業全体でハラスメント防止に取り組んでいく必要があります。
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