フリーランスが法人化する方法やメリット・デメリットについて解説
2024.09.29
「フリーランスで働いて、一定の利益が出てきたので法人化を検討しているけれど、法人化するのに何をしたらいいのかわからない」という方もいるでしょう。
一定の利益が出てきた時に節税を考えることは大切ですが、手続きや費用面で考慮すべき点が多い現状もあります。
今回は、フリーランスが法人化する方法や、メリット・デメリットについて解説します。
フリーランスと法人の違いとは
法人登記しているかどうかが、フリーランスと法人の大きな違いです。
フリーランスは税務署に開業届を提出しますが、法人は法務局に登記申請をします。
資本金1円で会社設立ができるため、手続きに関するハードルは、法人と個人事業主とでそんなに差はありません。
また、フリーランスには所得税・個人住民税・個人事業税などが課せられますが、法人には法人税・法人住民税・法人事業税などが課せられます。
フリーランスが法人化するメリット
フリーランスが法人化した場合に得られるメリットとはどういうものがあるのでしょうか。
以下で見てみましょう。
節税効果が期待できる
フリーランスの場合、課税所得が900万円以下だと所得税は23%、900万円を超えると33%、1,800万円を超えると40%、4,000万円を超えると45%というように、課税率は収入に対して上がります。
ですが、法人化すると、支払う税金が法人税に変わり、比例税率(固定税率)が適用されるため、資本金の額に関わらず税率は最高でも23.2%になります。
法人税ならば、課税所得が多くなればなるほど税率が高くなることがありません。
資本金1億円以下の中小法人なら、課税所得800万円以下における税率は、15%に下げられるという優遇措置もとられています。
また、資本金が1,000万円未満であれば最大2年間消費税の課税を免除されるため、消費税の節税にもつながります。
役員報酬を経費に計上できる
法人化すると、給料・役員報酬・退職金も経費にすることができます。
注意点としては、不当に高い報酬・退職金は認められていないことです。
社会保険に加入できる
法人化すると、経営者だけでなく、家族も厚生年金や健康保険などの社会保険に加入できます。
もちろん、その分の支払いは増えますが、社会保険に加入すると将来受け取ることができる年金の額を増やせます。
また、社会保険を完備していると、求職者に好まれるため、従業員を雇う場合は、雇用の面でもメリットがあるでしょう。
経費の幅が広がる
フリーランスであれ法人であれ、事業で発生する支出を経費として計上できます。
ですが、法人の方が経費の幅が広い点がメリットです。
例えば、社宅契約を結ぶと、居住用の自宅の家賃の一定割合を経費として計上できるだけでなく、生命保険料や日当なども経費の対象になります。
長期間にわたって欠損金の繰越控除を受けられる
法人は、赤字になっても、赤字を繰り越して翌年以降に発生する事業所得と相殺することができます。
フリーランスの場合、繰越期間が翌年以降3年間ですが、法人であれば翌年10年間まで認められています。
赤字が大きい場合、繰越控除を受けられる期間が短いと、欠損金が使い切れない可能性があるため、法人化した方が節税効果が高くなります。
社会的信用を獲得できる
法人化すると、社会的な信用を得ることができるため、銀行からの融資を受けたり、事業への助成金を受けやすくなります。
また、法人化すると、人材を集めやすくなるなど、事業拡大の面でもメリットがあるでしょう。
フリーランスが法人化するデメリット
今度は、フリーランスが法人化した場合のデメリットについて、以下で見てみましょう。
設立費用がかかる
個人事業主は開業届を提出すれば事業を始めれますが、会社設立をするには登記をする必要があります。
一般的に、株式会社の登記手続きには20〜30万円が必要とされています。
また、会社設立後も毎年税金を支払わなければいけません。
赤字であっても、法人所得税の均等割は毎年の納税義務があります。
例えば、東京23区では、資本金1,000万円以下、従業員数50人以下であっても7万円を支払う義務があります。
法人化には節税のメリットがありますが、利益が少ないと、納税額が増えてしまう可能性があるので、注意しましょう。
社会保険料を支払わなければいけない
法人化したら、加入要件を満たす全従業員を社会保険に加入させる義務があります。
社会保険料の半分は会社が負担し、残り半分は本人か従業員が負担します。
社会保険に未加入であることが判明したら、2年間遡って支払う必要があるので、注意しましょう。
会計処理や税務処理が複雑化する
法人化すると、会計処理や税務処理は複雑になります。
そのため、会計に詳しくないと、税理士など専門家に依頼することになるため、費用がかかってしまいます。
また、事業内容の変更や取締役の追加など定款を変更する場合、手続きが必要になるので、司法書士や行政書士に依頼する費用と、定款変更の際に行政に支払う登録免許税がかかります。
損金にならないものがある
損金(法人税上の経費)にならないものがあります。
損金とは法人税における経費のことです。
具体的には、家賃や通信費、外注費、事務用品費など個人事業主の経費となる費用だけでなく、経営者自身の人件費(給与)や法人事業税、厚生年金などの保険料も損金に計上できます。
ですが、法人税と法人住民税などは損金にはなりません。
また土地などの固定資産などが購入時より評価が下がった場合に、評価損として会計処理することがありますが、実際に売却していない状態の評価損は損金とは認められません。
また、不当に高額な役員報酬、限度額を超えた交際費や寄付金も損金には計上できません。
フリーランスが法人化するベストなタイミングとは
課税所得が約900万円を超えたら、法人化すると税金を抑えられます。
そのため、このタイミングで法人化を検討するといいでしょう。
確定申告後にフリーランスが納める所得税は、累進課税制度が採用されています。
つまり、所得が高いほど税率が高くなり、900万円以下では23%、900万円以上では33%です。
ですが、法人税は、固定税率が適用され、900万円を超える利益が出た場合でも最高23.9%です。
また、800万円以下は本来なら税率19%ですが、租税特別措置法により、資本金1億円以下の中小法人の場合は15%に抑えられます。
売上高1000万円を超えたら法人化
フリーランスは、年間の売上高が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の納税義務が発生します。
ですが、消費税の納税義務が発生するタイミングで法人化すると、法人化した最初の2年間の消費税の支払いが免除されます。
フリーランスから法人化するために必要な手続き
個人事業主から法人化するには、以下の手続きを行う必要があります。
設立手続きをする
まず、 会社の基本事項を決めましょう。
具体的には、以下の内容を決定します。
・商号(会社名)
・会社の目的と事業内容
・本社所在地
・株主や役員構成と報酬額
・資本金額
・決算日
会社の事業内容や社名などの概要を決めたら、定款を作成します。
定款を公証役場で認証してもらい、資本金を振り込みます。
定款の認証手続きには、以下の書類や費用が必要です。
・定款:3部
・発起人全員の3ヶ月以内の印鑑登録証明書:各1通
・発起人全員の実印
・認証手数料:30,000〜50,000円(資本金額によって異なる)
・謄本代:250円×定款の枚数(現金)
・収入印紙:40,000円分
・委任状(代理人が申請する場合)
合同会社は、定款の認証が不要になります。
会社設立の登記申請をする
本店所在地管轄の法務局で設立登記申請をします。
その際に、申請書、定款、印鑑証明、資本金振込が証明できる通帳のコピーなどが必要です。
出資金の0.7%(最低15万円)の登録免許税や収入印紙代4万円、定款認証手数料約5万円がかかります。
法人口座を開設する
法人名義の口座を開設します。
口座開設に必要な書類は、銀行によって異なり、銀行のWebサイトに法人口座開設の案内があるため、あらかじめ確認しておくといいでしょう。
審査に時間がかかることがあるため、登記事項証明書を発行してもらったら、すぐに口座開設をしたほうがいいでしょう。
役員報酬を決める
会社設立から3ヶ月以内に、役員報酬(給料)を決めます。
その金額は、事業年度が終わるまで変更できないため、売上を見越して決めるといいでしょう。
また、経費にできると言う理由で、給料を高く設定すると、社会保険料が高額になるので、注意しましょう。
官公庁へ届け出をする
法人を設立したら、税務署や都道府県の税務事務所に法人設立の届出をする必要があります。
法人設立届出書の期限は、設立後2ヶ月以内ですので、すぐに手続きを済ませておきましょう。
社会保険の手続きをする
従業員数に関わらず、社会保険に加入することが義務づけられています。
会社を設立したら、すぐに管轄の年金事務所で加入手続きをしましょう。
資産と債務を移行する
個人事業主から法人化したら、資産や債務を移行します。
資産とは、仕事に使用していた什器や在庫などのことです。
移行の方法として、法人への売却、現物出資、賃貸、贈与があります。
ですが、賃貸の場合は個人事業主として収入が発生するので毎年確定申告が必要になります。
また、贈与の場合は利益として法人税が課税されます。
そのため、一般的には、売却または現物出資の方法が取られます。
個人事業を廃業する
法人設立から1ヶ月以内に、税務署に廃業の届け出を出して、個人事業の廃業手続きをします。
「個人事業の開業届出・廃業等届出書」、青色申告を行なっていた場合は「青色申告の取りやめ届出書」、消費税を支払っていた場合は「事業廃止届出書」、従業員を雇っていた場合は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」を提出します。
まとめ
フリーランスから法人化することは、節税対策や社会的信用のアップといったメリットがありますが、赤字でも法人住民税がかかるデメリットもあります。
フリーランスと法人のどちらがいいのかをよく検討して、法人化するかどうかを決めましょう。
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