コンプライアンスの意味や違反事例、原因、対策方法について解説
2024.10.12
コンプライアンスとは
コンプライアンスとは、法令を守ることです。
法令とは、国が定めた法律と行政機関が制定する命令の総称です。
例えば、国の法令の「法律」「政省令」、自治体の法令である「条例」「規則」などが挙げられます。
ですが、近年、コンプライアンスは、就業規則などの社内規定や、企業倫理に照らして会社が守るべきこと(ハラスメントや差別等)も含まれます。
したがって、コンプライアンスは、経営リスクを表す言葉にもなっています。
コンプライアンスとコーポレートガバナンスの違い
コーポレートガバナンス(企業統治)とは、企業がコンプライアンスを実現するためのシステムのことです。
企業における組織的な不祥事を防止するために、不正がおこなわれないような体制を構築したり、不正や不祥事が起こった時の対処法などを適切に定めることです。
社外取締役や社外監査役等の外部の人間が、経営陣を監視します。
一方、コンプライアンスは、経営陣が社内で、法令違反や、規範違反がないかを監視することです。
これら2つは、監視する主体や対象が異なります。
コンプライアンスと内部統制との違い
内部統制は、経営者が従業員を管理し不正を防ぐための仕組みのことで、コンプライアンス実現の手段です。
「業務の有効性及び効率性」「財務報告の信頼性」「事業活動に関わる法令等の遵守」「資産の保全」の目的があります。
コンプライアンスを重視すべき理由
コンプライアンスの重要性は、いっそう高まっています。
コンプライアンス意識に欠ける経営をしていると、SNSなどによる情報拡散によって炎上してしまうおそれがあるからです。
一般人も会社を監視するようになっているので、小さなルール違反をしただけでも、会社にとって経営が危ぶまれてしまいます。
そういったリスクを回避するために、コンプライアンスが重要視されるようになりました。
コンプライアンス違反の事例
コンプライアンスには、さまざまな種類があります。
コンプライアンス違反の事例の中でも発生しやすいものを以下に挙げてみましょう。
法令違反
法令違反とは、企業が事業活動をする際に守るべき法令を違反することです。
景品表示法・著作権法・独占禁止法などの法令違反が多いです。
例えば、商品の品質を著しく優良に誤認させる行為は景品表示法に抵触します。
不正会計
脱税・架空請求・粉飾決算といった不正会計があります。
脱税とは、税金を減らすために売上を少なく見せたり経費を水増しすることです。
粉飾決算とは、業績を好調に見せるために実際の資産や負債などの数値を意図的に操作することです。
情報漏えい
個人情報や機密情報が、外部に流出するといった情報漏えいも発生します。
セキュリティ管理が十分に行われていなかったり、従業員が情報を持ち出すことが主な原因です。
労働問題
労働基準法の上限を超えた長時間労働や、働いていることを隠すサービス残業は法令違反になります。
また、パワハラやモラハラなども法令違反に当たり、罰則が科されることもあります。
コンプライアンス違反が起きる原因
テレビやSNSなどで、コンプライアンス違反の企業のニュースをよく目にします。
では、どうしてコンプライアンス違反が起きてしまうのでしょうか。
コンプライアンス違反が起きてしまう原因について見てみましょう。
コンプライアンスについての知識不足
経営層や従業員が、法令、社内規則、社会倫理についでの正しい知識を身につけていないと、コンプライアンスを守ることはできません。
そのため、何がコンプライアンス違反に該当するのか、なぜ違反してはいけないのかを把握する必要があります。
働き方や社会倫理がアップデートされてない
働き方や社会倫理がアップデートされてないと、コンプライアンス違反に該当してしまうことがあります。
過去に問題でなかったことを、今の時代にすると、問題になってコンプライアンス違反になってしまうことは、よくあります。
「法令」や「社内規則」はアップデートされることがあり、「社会倫理」は、時代によって変わります。
このような変化に対応できないと、コンプライアンスに違反する言動をとってしまうおそれがあります。
コンプライアンス違反を防ぐ体制がない
コンプライアンス違反を防ぐための対策をしないと、コンプライアンス違反のリスクが高まります。
従業員に任せっきりでは、コンプライアンス違反を防ぐことは難しいでしょう。
コンプライアンス違反の基準を明確にして、それを実現するためのシステムを作ることが重要です。
コンプライアンスを守るために企業がするべき対策
コンプライアンスが果たせる企業にするには、仕組みづくりが必須です。
コンプライアンスを守るために企業は何をしたらいいのでしょうか。
企業がするべき対策について見てみましょう。
情報をアップデートする
コンプライアンスの基準は、時代によって変わります。
最新の基準をもとに、コンプライアンス違反にならないかを判断しなければいけないため、法改正や社会的倫理観といった情報を随時確認しましょう。
行動規範や社内規定を決める
コンプライアンスを守るための行動規範や社内規定を決めます。
どのような行為が違反になるかの具体例や違反した場合のペナルティについても明記する必要があります。
内容の漏れなどがないように、弁護士や社会保険労務士などの専門家に監修してもらうといいでしょう。
相談窓口を設置する
コンプライアンス違反の相談窓口を設けると、コンプライアンス違反への対応に悩んだ従業員や、コンプライアンス違反をしたかもしれないと思っている従業員が気軽に相談できます。
パワハラやモラハラなどは、部署外から把握することは難しいので、窓口の存在は重要と言えます。
いつでも相談できるように、電話・メール・チャットなどさまざまな手段で相談できるようにしましょう。
従業員に周知する
規則を定めたり、相談窓口を設置しても、従業員が制度を知らなかったり、コンプライアンス意識が浸透していなければ、効果がありません。
そのため、従業員に周知することが重要です。
コンプライアンス研修を実施する
コンプライアンスへの理解を深めるために、コンプライアンス研修を実施しましょう。
例えば、専門家を招いたセミナーや勉強会がおすすめです。
SNSでの不適切な発言やハラスメント行為などに関しては、具体例を紹介することが重要です。
また、コンプライアンス違反をしたら、企業の信用失墜や利益損失などのネガティブな影響があることも説明しておきましょう。
まとめ
コンプライアンスは、経営に関わる重要事項ですので、経営層や全従業員がコンプライアンスを意識して仕事に取り組めるシステムを作る必要があります。
法令についての知識が欠如していると、コンプライアンス違反に該当する言動をしてしまうおそれがあります。
そのため、経営層や全従業員がコンプライアンスについての知識をが身につける必要があるでしょう。
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