マイクロ法人を設立するメリットとデメリットや、作り方などをご紹介
2024.11.08
昨今、マイクロ法人は、負担を大幅に減らせるスキームということで、多くの個人事業主の注目を集めています。
そこで今回は、マイクロ法人を設立するメリットやデメリット、作り方などについて解説します。
マイクロ法人とは
マイクロ法人設立のメリット
マイクロ法人を設立するメリットを以下に挙げてみましょう。
社会保険料の負担を抑えられる
社会保険料を抑えられることが、最大のメリットです。
個人事業主は、国民健康保険や国民年金を支払いますが、マイクロ法人の役員は、会社の健康保険や厚生年金に切り替えれるため、マイクロ法人で受け取る役員報酬を軽減することができます。
したがって、健康保険料や厚生年金保険料の支払い額を減額できます。
上手く活用すると、年間何十万円もの負担を減らすことが可能になります。
所得税と住民税の節税ができる
事業の利益をマイクロ法人で計上すると、マイクロ法人から年間1,625,000円以下の役員報酬を受け取れます。
役員報酬を受け取ると給与での所得が550,000円下がるため、給与所得控除が受けられ、所得税と住民税をその分抑えることができます。
経費の幅が広がる
マイクロ法人を設立すると、経費の幅が広がります。
個人事業主から法人になると幅が広がる経費は、以下の通りです。
・住居費
・出張手当
・車両関連費
・退職金
・生命保険
社会的信用度が上がる
マイクロ法人にすると、個人事業主と比べて社会的信用度が上がります。
法人だけにしか仕事を依頼しないという企業もあるため、請けられる仕事が多くなるでしょう。
ですが、マイクロ法人では、売上や資本金が大きくならないため、通常の法人と比べると信用度の向上は限定的ではあります。
マイクロ法人設立のデメリット
今度は、マイクロ法人を設立したら、どんなデメリットがあるのかを見ていきましょう。
マイクロ法人設立の手間と費用がかかる
マイクロ法人を設立するには、多くの書類を作成し、税務署や自治体、年金事務所などに提出する必要があるため、手間と時間がかかります。
また、会社の形態によって設立費用は異なりますが、株式会社は20万円ほど、合同会社は6万円ほどが必要になります。
合同会社と持分会社は、株式会社より手続きが簡単ですので、資金調達や取引先の信用度向上を目的にしていなければ、検討してみるのも1つの方法です。
経理の手続きが煩雑になる
マイクロ法人を設立すると、経理の手続きが煩雑になります。
個人事業主としての年に1度の確定申告に加えて、マイクロ法人の決算申告もしなければいけなくなり、時間を取られてしまいます。
個人事業主の確定申告と比べて、法人の決算申告は、税務処理が複雑で、個人ですることはなかなか難しいです。
決算申告では、以下のような書類の作成と提出が義務付けられています。
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・勘定科目内訳明細書
・法人事業概況説明書
そのため、法人事業概況書や勘定科目内訳書などの作成を税理士に依頼することがよくありますが、そうなると、費用がかかってしまいます。
赤字でも納税しなければいけない
マイクロ法人を設立すると、赤字でも納税しなければいけない点もデメリットです。
法人住民税には、均等割があるため、赤字であっても最低7万円の法人住民税が発生してしまいます。
マイクロ法人の売上が上がった場合は、その分法人税や法人住民税の支払いが出てきます。
全体の売上によっては、累進課税で支払う所得税よりも法人税の方が税率が高くなってしまうことがあるため、マイクロ法人スキームを実践する前に、税金について知っておく必要があります。
マイクロ法人の設立手順
マイクロ法人の設立手順を確認しましょう。
法人の種類として、株式会社、合同会社など複数あります。
マイクロ法人設立の目的が節税であり事業拡大を目的としないのであれば、手続きが比較的簡単で設立費用を安く抑えられる合同会社がおすすめです。
会社の基本事項を決める
定款にも記載する会社設立に必要事項を決めましょう。
具体的には、以下のことを決めます。
・会社形態
・商号(会社名)
・事業目的
・本店所在地→バーチャルオフィスなども本店所在地として設定できます
・資本金→法律上は1円から会社を設立できます
・会社設立日
・会計年度
・役員や株主の構成
法人用の印鑑を作る
法人用の実印は、市販の印鑑でなく、専門業者に作成してもらう必要があります。
また、重要な取引や契約書などに押印するため、適切に管理しなければいけません。
実印は、印鑑届書と法務局で登録しますが、2021年2月に法改正によって、オンラインによる設立登記では印鑑の届出は任意となりました。
定款を作成する
定款は、会社の事業内容や役員の任期などを規定している書類で、会社設立時に作成します。
定款は、会社法によって記載内容に一定の基準が設けられているため、それにしたがって記載しましょう。
事業目的や商号などの絶対的記載事項が記載されていない場合、定款が無効になるので注意する必要があります。
定款を作成し製本したものを3部作りって、左側を止めて、それぞれの見開きページに発起人の実印を割り印で押して、最後のページの発起人の欄に実印を押印します。
公証役場で定款認証をする
株式会社、一般社団法人、一般財団法人を設立する際は、作成した定款を公証役場に提出して認証を受ける必要があります。
合同会社は、認証手続きが不要です。
認証手続きは、会社の本店所在地を管轄する公証役場で、公証人訪問日時を予約して行われますが、電子定款でオンラインですることもできます。
公証役場で定款認証をする場合は、以下の書類が必要になります。
・定款:3部
・3か月以内に発行された発起人全員の印鑑登録証明書:各1通
・発起人全員の実印
・認証手数料:30,000〜50,000円(資本金額によって異なる)
・謄本代:250円×定款の枚数分の現金 ※クレジットカードは使えません
・収入印紙:40,000円
・代理人が申請する場合は委任状
・実質的支配者となるべき者の申告書
訪問日前に、郵送やFAXで定款を送っておくと、認証手続きがスムーズにできるでしょう。
資本金の払込みをして、払込証明書を取得する
定款の認証が完了したら、資本金を払い込みます。
この時点では法人口座を開設できないため、ほとんどの場合、発起人の個人口座に銀行振込をします。
支払い後、資本金が証明できるように、通帳の表紙と1ページ目、資本金の振込内容が記載されているページをコピーして保管しておきましょう。
この振込内容のコピーがないと、登記申請ができません。
登記書類を作成して、登記申請をする
法務局で登記申請をします。
登記申請をする際には、以下の書類が必要になります。
・登記申請書
・登録免許税分の収入印紙を貼った納付用台紙
・定款
・発起人の決定書
・設立時代表取締役の就任承諾書
・設立時取締役の就任承諾書
・設立時取締役の印鑑登録証明書
・印鑑届出書
・資本金の払込があったことを証する書面
・登記すべき事項を記載した書面もしくは保存したCD-R
登記簿謄本と印鑑証明書を受け取る
登記完了後に、登記簿謄本と印鑑証明書を受け取ります。
登記所か法務局証明サービスセンターの窓口、郵送、オンラインによって、交付を請求できます。
関係各所に届け出をする
会社の登記が完了したら、関係各所に各種届け出をします。
・税務署→法人設立届、青色申告の承認申請書など
・都道府県税事務所や市町村役場→法人設立届など
・年金事務所→健康保険・厚生年金保険新規適用届、資格取得届など
一般的な法人は、労働基準監督署やハローワークに届け出をしますが、代表1人で事業をするマイクロ法人では不要です。
会社員の場合、社会保険料は節税できない
会社員がマイクロ法人を設立することはできますが、個人事業主と違って、社会保険料の節約ができません。
会社員は、勤務先の会社で社会保険料を支払っているからです。
所得税と住民税は節税できますが、社会保険料ほどの大きな金額ではないので、個人事業主と比べると、節税メリットが少なくなります。
まとめ
個人事業主が節税をしたい場合、マイクロ法人を設立することも、一つの方法です。
高額な国民健康保険から脱退し、社会保険へ加入できるのは、大きなメリットになるからです。
ですが、マイクロ法人の設立や運営には手間と費用がかかるため、負担が増えてしまいます。
会社設立によって増える手間や費用を考慮して、マイクロ法人を設立するかどうかの検討をしたほうがいいでしょう。
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