コラム

職場のメンタルヘルスケアとは?

2023.03.26

メンタルヘルスとは、心や精神面での健康状態のことを意味します。

 

職場で、従業員のメンタルヘルスがいいというのは、従業員がもっとも高いパフォーマンスを発揮できている状態です。

 

ストレスが増えると、メンタルヘルスは低下します。

 

メンタルヘルスに不調を抱えた従業員がいると、企業の成長や発展は難しくなります。

 

そこで、職場でメンタルヘルスケアを実施することで、生産性の向上、離職の防止、リスクマネジメントなどにつながります。

 

企業が、従業員のメンタルヘルス不調を防ぐための取り組みをすることは、大きな課題となっています。

 

今回は、事業を持続的に行っていくために必要な職場のメンタルヘルスケアについて見ていきましょう。

メンタルヘルスとは?

メンタルヘルスとは、心の病気を指す言葉ではなく、心の健康状態(精神的健康)を指します。

 

心が健康であれば、人はポジティブな状態を安定的に保つことができます。

 

そのため、仕事に対しても意欲的な姿勢で取り組むことができ、いきいきとした日常生活を送ることができるでしょう。

メンタルヘルスが及ぼす悪影響とは?

メンタルヘルスの悪くなると、従業員と会社に対して大きなデメリットをもたらします。

 

どんなデメリットがあるのか、見ていきましょう。

従業員にとってのデメリット

従業員のデメリットとしては、ストレスがたまると、遅刻や欠勤が増加します。

 

また、作業効率が低下して、ミスや納期遅れが生じたり、ケガや事故になるケースもあります。

 

そのため、長期療養による休職や離職を余儀なくされることも少なくありません。

 

そうなると、従業員は、仕事のキャリアと日常生活に、大きなリスクを抱えることになります。

企業にとってのデメリット

従業員が、長期療養による休職や離職をしてしまうと、企業の生産性が低下し、収益にも大きく影響するといったさまざまな悪影響が起こることが考えられます。

 

休職者が出た場合、企業は、医療費を負担したり、代替となる従業員を探すための人件費などが必要になります。

 

従業員が退職した場合は、従業員募集や採用に関わる費用など、さまざまなコストもかかります。

 

また、労働災害が適用されると、次年度から労災の保険金が増加することになり、労災から民事訴訟に発展すれば損害賠償が請求され、裁判に関わる費用や弁護士費用なども膨大なものとなります。

 

このような影響は、コストだけでなく、過労による自殺者が出た場合、会社のイメージダウンは避けられません。

 

取引先や株主からの信頼失墜だけでなく、従業員のモラルダウン、募集や採用活動への悪影響といった負のスパイラルになり、企業存続の危機に陥ることも十分に考えられます。

職場のメンタルヘルスケアを実践するメリットとは?

従業員のメンタルヘルス不調によるさまざまな影響を考えると、企業にとってメンタルヘルスへの対応は喫緊の課題と言えるでしょう。

 

メンタルヘルス対策は、会社が取り組まなければいけないリスクマネジメントであり、重要な課題と位置付けることができます。

 

職場のメンタルヘルスケアを実践することには、さまざまなメリットがあります。

 

メンタルヘルスケアを実施することで、どのようなメリットがあるのかについて、以下で解説します。

生産性の向上

メンタルヘルスに不調がある従業員は、自身の能力を十分に活かすことができず、仕事の効率が落ちてしまいます。

 

メンタルヘルスが改善せず、休職することになった場合、それが長期間になってしまうことも多く、企業にとっては、貴重な戦力を失うことになってしまいます。

 

職場で従業員のメンタルヘルスの不調を早期に発見し、早期に対処すると、従業員は、質の高い仕事がこなせるような環境になり、生産性の低下を防止することができます。

 

 

従業員の生産性や仕事への意欲の向上

メンタルヘルスケアとして職場環境の改善を行うことは、従業員の仕事の質を高めることに繋がります。

 

ワークモチベーションを維持できるようになり、従業員の生産性や仕事への意欲の向上が期待できます。

 

メンタルヘルスの不調があるかないかにかかわらず、全従業員に行うことで、効果を発揮します。

リスクマネジメント

メンタルヘルスケアを実施することは、リスクマネジメントにもつながります。

 

メンタルヘルスに不調があらわれると、睡眠不足や体調不良など、さまざまな兆候が出てきます。

 

ですが、企業がメンタルヘルスケアを行っていないと、従業員の変化に気づけず、生産性の低下や休職、離職に影響し、会社の業績低下に繋がりかねません。

 

職場でメンタルヘルスケアを行うことで、従業員の不調を把握し、リスクに備えて対策をすることができるため、メンタルヘルスケアはリスクマネジメントの1つと捉えるべきだと思われます。

離職の防止につながる

従業員がメンタルに不調をきたすと、仕事がうまくいかなかったり、仕事に集中できなくなるので、会社に行きたくなくなってしまうこともあります。

 

そうなると、会社をやめようかと考える従業員も出てきます。

 

メンタルヘルスケアを従業員の自己管理に任せるのではなく、企業が従業員のメンタルヘルスケアを行い、職場環境を改善することは、離職の防止につながります。

職場のメンタルヘルスケアの4つの基本とは?

企業はどうやってメンタルヘルス対策を行っていけばいいのでしょうか。

 

メンタルヘルス対策を効果的に進めるための4つのケアについて、見ていきましょう。

セルフケア

セルフケアは、従業員が行うストレスへの気づきと対応のことです。

 

メンタルヘルス対策はここから始まり、自分でストレス反応をコントロールする方法を学び、職場でのストレス耐性を高めるセルフコントロール研修という手法が効果的です。

 

セルフコントロール研修は、ストレスの現状を知り、ストレスと付き合うための心理学的スキルを学ぶためのものです。

 

人は、ストレスを感じた時、プラスとマイナスの二通りの考え方をします。

 

例えば、新しい仕事をすることになった場合、新しい仕事を「脅威」と捉えるか、それとも「コントロール可能なもの」と捉えるかで、その後の状況は大きく違ってきます。

 

脅威と捉えた場合、不安な気持ちになり、ストレスがどんどん溜まっていきます。

 

ですが、新しい仕事をコントロール可能なものだと思えば、不安な気持ちにあまりならないでしょう。

 

このように、ストレスを感じた時にどういう捉え方をし、どんな対処方法を取るのかは分岐点になります。

 

セルフケアを行う場合、スキルを習得することが効果的です。

ラインによるケア

ラインケアは、管理者が職場環境の改善をし、部下からの相談にのることです。

 

部下のマネジメントは、管理者にとって重要な仕事です。

 

職場環境の改善は従業員のストレスを軽減し、メンタルヘルス不調の発生や悪化を防止することが期待できます。

 

休職者への職場復帰における支援なども含まれます。

 

ラインによるケアで大切なのは、管理者が、いつもと様子が違う部下に早く気づくことです。

産業保健スタッフによるケア

産業医や衛生管理者、保健師などの産業保健スタッフは、「セルフケア」「ラインによるケア」が効果的に実施されるように、労働者や管理者へ支援を行います。

 

また、「心の健康づくり計画」の実施において中心的な役割を担います。

 

産業保険スタッフが行う心の健康づくり計画は、以下のものが挙げられます。

 

・具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案

・個人の健康情報の取り扱い

・事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口

・職場復帰における支援など

事業場外資源によるケア

事業場外資源には、従業員支援プログラム(EAP)や、労災病院・診療所、都道府県産業保健指導センター、地域産業保健センターなどがあります。

 

情報提供や助言を受けるなど、これらの外部サービスを活用することや、ネットワークの形成、職場復帰における支援、などがケアに含まれます。

 

事業場外資源によるケアには、以下のものが挙げられます。

 

・従業員支援プログラム(EAP)

・労災病院・診療所

・都道府県産業保健推進センター

・地域産業保健センター

メンタルヘルス対策の進め方とは?

職場のメンタルヘルスケアを進めるには、どのような手順で進めていけばいいのでしょうか。

 

職場のメンタルヘルスケアの進め方について解説します。

職場でのメンタルヘルスケアの教育研修

職場でメンタルヘルスケアを進めるには、目的に応じた教育研修が必要になります。

 

セルフケア研修の場合、従業員がメンタルヘルスの不調やストレスに、適切な対処をできるようになることが目的となります。

 

ラインケアの研修の場合、管理職が、部下に対して適切なメンタルヘルスケアができるようになることが目的となります。

 

目的に合わせた教育研修をおこない、従業員が率先して職場のメンタルヘルスケアを実践できる環境にしましょう。

職場環境の把握と改善

従業員のメンタルヘルスは、職場環境など、さまざまな要因から影響を受けます。

 

例えば、労働環境、労働時間、仕事の質と量、ハラスメント、人間関係などが要因になります。

 

従業員のストレスチェックや、ヒアリングをして、職場環境が健全に保たれているか、従業員がストレスを感じていないかなど、常に問題点はないか把握する必要があります。

 

職場環境の評価と問題点の把握などの改善を図ることが重要です。

メンタルヘルス不調への気づきと対応

従業員のメンタルヘルスの不調は、早期発見し、早めの対応をすることが大切です。

 

従業員のメンタルヘルスの不調に早く気づくためには、日頃から従業員と面談をおこなったり、社内にカウンセラーを設置し、すぐに相談できるような環境を整えることが重要になります。

 

メンタルヘルスの不調を早く発見することで、症状が深刻化する前に、適切な対応を図ることができるでしょう。

職場復帰における支援

メンタルヘルス不調により休職した従業員が、スムーズに職場復帰し、就業を継続するためには、衛生委員会等において調査、審議し、職場復帰支援プログラムを策定する必要があります。

 

あわせて、その実施に関する体制整備やプログラムの組織的、継続的な実施で、従業員への支援を実施しましょう。

まとめ

企業が経営を進めていくためには、従業員のメンタルヘルスに配慮する必要があります。

 

従業員同士がコミュニケーションを密にとったり、現場の状況を確認できる制度を整えたりできるように対策をしておくことが大切です。

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