コラム

メンター制度とは?目的やメリット、デメリットを紹介

2023.04.01

新入社員の3~4割が3年以内に離職する傾向も止まらず、定着率の向上は企業における重要な課題となっています。

 

メンター制度は、新入社員を精神的にサポートし、定着率を高める人材育成の方法です。

 

今回、メンター制度の目的や導入するメリットとデメリット、導入までの流れや運用する上でのポイントをご紹介します。

メンター制度とは?

メンター制度とは、上司以外の先輩社員が、新入社員に定期的に面談をし、不安や悩みを聞いて精神的なサポートする人材育成の方法です。

 

新入社員に限らず、若手社員や新人マネージャーを対象にする場合もあり、新入社員の定着率を高める効果や、従業員同士のコミュニケーションを活性化する効果が期待できます。

エルダー制度との違いは?

メンター制度とよく似た人材育成の方法に、エルダー制度があります。

 

エルダーとは、先輩を意味する言葉で、エルダー制度は先輩社員が新入社員におこなうOJTの一種です。

 

直属の上司ではなく、実際に仕事を一緒にする先輩社員が新入社員を指導することで成長を促します。

 

メンター制度も、直属の上司ではなく先輩社員がマンツーマンで指導をする制度ですが、他部署の先輩社員がメンターに選ばれることが一般的で、メンタル面のサポートを担うことが主な役割です。

 

エルダー制度は業務面のサポートを中心にして、新入社員を即戦力として活躍させることが主な目的となっているため、メンター制度とは期待されている役割や対象となる社員が異なります。

OJTとの違いとは?

OJTとは、先輩社員や上司が、後輩社員や若手社員などに対して行う、実務を通じた実践的な研修制度のことです。

 

メンター制度とOJT制度は、先輩社員が若手社員に指導・助言をするという点では似ていますが、助言する側の所属している部署とサポートする範囲が違います。

 

メンター制度は、後輩社員とは別の部署の先輩社員が助言を行いますが、OJTでは同じ部署の先輩社員が担当しますので、メンター制度はメンタル面でのサポートがメインであるのに対して、OJTでは実務指導に特化しているという違いがあります。

 

また、メンター制度では、年齢や社歴の近い先輩社員がメンターに就くのに対して、OJT制度では先輩社員の年齢はさほど考慮されず、上司が指導役に就くケースがあるという点も違います。

メンター制度の目的とは?

メンター制度を導入する主な目的について解説します。

企業への定着

多くの企業では、新入社員と始めとする若手社員の早期離職が緊急の課題となっています。

 

メンター制度では、メンティと年齢や社歴の近いメンターが業務や人間関係の相談にのることで、悩みが解決されやすく、会社に馴染みやすくなります。

 

また、メンティにとって、成功体験の豊富なメンターと話をすることで、自分自身の今後の成長をイメージしやすくなり企業への定着につながります。

メンターの将来のキャリア形成

メンター制度では、メンターとメンティの年齢・社歴に大きな違いがないため、メンターは自分よりも経験の浅いメンティと関わることで、メンティの頃の自分を思い出します。

 

メンティの姿に過去の自分を投影することで、自分自身の成長を実感できるでしょう。

 

それにより、新たな気持ちで仕事に向き合うことができ、今後のキャリア形成について考える機会になります。

人材育成を重視した企業風土を作る

企業の成長のために、人材育成は不可欠です。

 

メンター制度では、先輩社員が後輩社員のサポートをして成長を促します。

 

そのため、従業員の間で人材育成が重要なものであるという認識が高まり、人を大切にする企業風土を作ることができます。

メンター制度の企業のメリットとは?

メンター制度のメリットを、メンターのメリットとメンティのメリットに分けて解説します。

メンターのメリットとは?

まずは、メンターのメリットを見ていきましょう。

コミュニケーションスキルの向上

新入社員の不安や悩みを聞いて、適切なアドバイスをするためには、聞く力・伝達力・共感することなどさまざまな能力が必要となります。

 

そのため、メンターの役割を果たすことで、自分自身のコミュニケーションスキルも向上します。

責任感が高まる

メンターは、入社2~3年目のキャリアの浅い先輩社員が担当することもありますので、自分と年齢の近い新入社員を指導することで、先輩としての自覚が芽生え、仕事に対する責任感が強くなります。

部下の育成経験を積める

管理職に昇進すると、部下の育成が重要な役割となります。

 

キャリアの浅いうちから新入社員を指導することは、人材育成の経験を積むことができ、将来マネージャーなど管理職になった時に活かすことができます。

メンティのメリットとは?

次に、メンティのメリットについて見てみましょう。

不安や悩みを相談できる

新しい職場で働くとなると、誰もが不安や悩みを抱えるものですが、社会人になったばかりの新卒社員なら、より不安や悩みを抱えることでしょう。

 

メンター制度によって相談相手ができることで、不安や悩みを1人で抱え込まずに済みます。

職場に早く慣れることができる

新入社員の早期離職の理由のひとつに、職場における孤立感があります。

 

彼らの相談できる相手が、家族・友人であるのは、社内で相談できる相手がいなかったということの表れでしょう。

 

社内に相談できる先輩ができることによって、新入社員は会社に馴染みやすくなり、孤立感を感じなくなるでしょう。

会社に対する理解が深まる

新入社員は、会社全体のことをすぐには理解できませんが、他部署の先輩がメンターになることによって、上司や先輩以外との交流が生まれ、会社に対する理解が深まります。

 

また、会社における自分の部署について把握しやすくなります。

メンター制度のデメリットとは?

メンター制度には、上記のような多くのメリットがありますが、デメリットもあります。

 

メンター制度を導入する際には、デメリットの対策をした上で、導入することが重要です。

企業のデメリットとは?

まず、企業のデメリットについて見てみましょう。

先輩社員の業務負担が増加

メンターを担当することで、先輩社員の業務負担が増えます。

 

メンターを務める期間は業務量を軽減する、繁忙期は避ける、周囲がフォローするなど、メンターのサポートをする仕組みが必要となります。

先輩社員の指導能力によって新入社員への効果が変わる

メンター制度は、メンターを担当する先輩社員の指導能力によって効果が変わります。

 

事前に研修をするなど、新入社員の良き相談相手としてのキャリア形成を支援する方法を指導することが必要です。

相性が悪いと離職してしまう

新入社員の離職理由として多いのは、人間関係です。

 

メンターとメンティの相性が悪いと、双方が離職してしまうかもしれません。

 

両者のパーソナリティをできる限り把握し、メンターの人選は慎重にするといいでしょう。

メンターのデメリットとは?

次に、メンターのデメリットについて見てみましょう。

 

仕事以外の業務が増える

メンターは、新入社員のフォローをすることで通常の業務とは別に、メンターの業務をこなさなければいけません。

 

メンター業務に積極的に取り組むためには、周囲のサポートが必要です。

自分の評価につながらない

人材育成が人事評価の基準になっていない企業では、メンターを担当しても先輩社員の評価や給与が上がらないことがあります。

 

メンターを担当し、新入社員のサポートをした先輩社員はプラスの評価をするなど、評価基準の見直しをすることが必要です。

メンティのデメリット

続いて、メンティのデメリットを見てみましょう。

メンターの指導能力に影響される

メンターの指導能力には、個人差があるので、同僚から他のメンターの話を聞き、メンティが不満を感じる場合もあります。

 

そうした事態を避けるためには、事前研修で共通の指導方法を伝える、一定のレベルに達した先輩社員のみをメンターに任命するなどの対策が必要となります。

メンターと相性が合わないとストレスになる

メンターと相性が悪いと、メンティは精神的なストレスが増えます。

 

新入社員と先輩社員のマッチングは慎重にしなければいけませんが、うまくいくとは限りません。

 

新入社員がメンターに不満を持った場合を想定して、同じ部署の上司や先輩にも相談できる環境を作っておくことが重要です。

メンター制度の導入方法とは?

メンター制度を導入するための手順を解説していきます。

目的の明確化

若手社員の早期離職など、企業が抱える人事問題はいろいろあるので、メンター制度をどういう目的で導入するかを明確にしましょう。

 

直近の若手社員の定着率を確認し、現場の課題をヒアリングするといった、企業の実態に合った目的を設定することが大切です。

実施計画を決める

目的が明確になったら、次に実施計画を決めましょう。

 

メンター制度をスムーズに導入するためには、実施期間・対象者・メンターの選定方法などを具体的に決める必要があります。

 

制度導入の効果を測定できるように、若手社員の離職率を何パーセント削減といった目標を設定しておくことも効果的です。

ルールを決める

メンター制度の円滑な運用のためには、運用方法やルールの策定が必須です。

 

マニュアルを用意し、メンターがメンティに声掛けする頻度やトラブルを避けるためのルールを決めましょう。

メンターの選定

メンター制度がうまくいくかどうかは、メンターとメンティのマッチングがうまくいくかどうかによります。

 

メンター制度の目的に合っていて、メンターとしての適性がある人を選ぶことが重要です。

 

誠実で信頼できる性格か、メンティと同様の問題を抱えていた経験があるかどうか、人の相談に親身にのれるかといった基準をもとに、メンターを選定しましょう。

 

メンターが決まったら、事前研修を行いましょう。

社内への周知

メンター制度を効果的に進めるためには、全社員の理解が必要です。

 

全社員に制度の目的や実施内容について伝えることで、人材育成の重要性を認識してもらいましょう。

運用開始

メンター制度を導入する準備ができたら、制度を開始しましょう。

 

開始してから、メンターとメンティの相性が合わないと分かった場合には、メンターを別の社員に交代させることも必要です。

運用と振り返りを繰り返す

期間が終わったら、メンターとメンティの声を集めることが、今後の制度の運用に役立ちます。

 

アンケートや面談を実施して、メンター制度の課題を見つけて、今後の改善につなげていきましょう。

 

メンターがメンティの業務や悩みの相談にのるメンター制度には、若手社員の早期離職防止、メンターとメンティの成長といった効果があります。

 

紹介したルールなどを参考にしながら、メンター制度を導入して人材育成に活かしましょう。

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