属人化にはメリットはある?
2023.04.28
業務の属人化とは?
業務の属人化とは、ある業務を特定の従業員が担当し、業務内容が担当者にしか分からない状態のことを指します。
属人化が起こっている職場では、「他の従業員が何をやっているか分からない」といった状況に陥りやすく、業務の質が低下したり、生産性向上を阻害したりする要因として、多くの企業で問題視されています。
業務の進め方や業務内容が他の従業員から見えない状態になること、つまり、業務がブラックボックス化することを避けるためには、全社的な取り組みが必要になります。
属人化にメリットはあるのか?
例えば、デザイナーや料理店のシェフなど、他の人にはできない特別な成果を生み出せている場合です。
特別な成果が認知されていると、その生産プロセスを秘匿な情報として属人化することによって、誰も真似できない唯一無二の強みとなります。
では、属人化のメリットについて見てみましょう。
業務に裁量権がある
対応時間が短くできる
業務に精通している従業員が対応した方が、さまざまな対応をすぐにできます。
トラブルが発生した時は、熟練した従業員が対応すると、素早く解決できますし、「あの従業員に聞けば大丈夫」という安心感もあるでしょう。
人的コストが下がる
同じ業務を、複数の従業員でするか、1人の従業員がするかで、人件費が変わってきます。
複数の従業員がする場合、教育や業務の共有に、時間や費用がかかりますが、1人の従業員がする場合、人的コストを削減できます。
総務部や経理部は、属人化することによって、人的コストが下がるケースが多くみられます。
専門性が高まりスキルアップになる
顧客から信頼される
自分の価値が上がる
専門性が高い業務を担当している従業員は、組織内での価値が高くなります。
任される仕事の量が増えたり、重要な取引先を任されることもあり、経験を積んでさらに専門性やスキルを磨くことができます。
社内だけでなく、市場での価値も高くなるため、転職でも有利になります。
属人化してもいい業務とは?
属人化は、企業にとってリスクが大きいですが、属人化してもいい場合もあります。
属人化してもいい場合とはどんなときなのか、見てみましょう。
手順ややり方が定まっていない
新規事業で、立ち上げしている業務では、正しい手順ややり方がわかっていないため、無理にマニュアルを作って、業務を標準化しようとしても、本当に正しい手順かはわかりません。
この状況下では、業務が特定の担当者に属人化しており、個人の裁量で試行錯誤をすることで、効率的で正しい手順を確立することができます。
業務がある程度確立し、正しい手順が見えてきたら、マニュアルを作成し標準化するのがいいでしょう。
立ち上げ途中の段階では、属人化していてもいいと考えておきましょう。
仕事内容が毎回変わる
コンサルティング業など、毎回業務内容が変わる場合は、業務の手順などを定めても、次回に活かしづらいです。
そのため、担当者の裁量に任せて、業務を属人化させなければ、業務を進行できません。
ですが、プロジェクトの進行管理や、書類の作成と保管などは、正しい手順を定めて置き、標準化しておくといいでしょう。
業務に高い専門性が求められる
名人と呼ばれるものづくりの職人や名医といわれる医療従事者など、その人の専門性の高さが価値となっているケースです。
属人化することは、プロフェッショナルとしての価値の高さに繋がります。
サービスの価値が、人にある場合、属人化することはサービスの価値を高めるために必要なものとなります。
ですが、他の従業員と一緒におこなう書類の作成などの業務は標準化しておく必要があります。
プロフェッショナルとしての技術だけを属人化しましょう。
属人化のリスクとは?
では、属人化におけるリスクについて、みていきましょう。
業務のブラックボックス化
属人化をすることで、他の従業員は、どのような流れでその業務を行っているのかが把握できなくなります。
分業化を進めている企業では、属人化が発生しやすくなりますので、注意した方がいいでしょう。
ボトルネックが生まれる
属人化すると、特定の従業員だけがその業務を担当するため、担当者が不在になった時、他の従業員は対応できません。
また、担当者の退職してしまったら、業務が完全に止まってしまう恐れがあります。
引継ぎがうまくできない
特定の従業員が担当する業務では、マニュアルが作られていないことがあります。
引継ぎをする場合に、何から教えればいいのか、どこまで仕事を覚えてもらえばいいのかが分からず、引継ぎがうまくいかないことがあります。
ミスに気づかない、隠蔽されやすい
業務ができる担当者が1人しかいない場合、ミスに気づきにくいデメリットがあります。
他の従業員は、担当者がどのような仕事をしているかが分からず、注意しにくいので、ミスの隠蔽につながる恐れもあります。
ナレッジや技術の消失
属人化された業務を担当する従業員がいなくなると、知識や技術が社内に蓄積されず、企業から消失することもあります。
属人化の解消方法とは?
マニュアル作成
業務手順を書いたマニュアルを作りましょう。
標準化(業務のマニュアル化)をすることで、他の従業員でも業務を担当でき、どの従業員が担当しても同じレベルで対応できるようになります。
業務が複数の従業員で共有できるので、担当者が不在でも、他の従業員が対応してくれるという安心感があります。
業務フローを見直す
業務のブラックボックス化を防ぐために、業務の手順が分かる業務フローを作成しましょう。
そうすると、誰がどんな仕事をしているのか把握するのに有効です。
情報共有をする
特定の担当者に業務を担当させないようにするために、定期的に業務報告の機会を作りましょう。
そうすることで、業務のブラックボックス化を防止できます。
専門性が高い業務は、内容や目的などが他の従業員に理解されないことがあります。
専門的な内容であれば、担当者に説明してもらうと、従業員同士で相談がしやすくなります。
専門的な業務を担当していると、孤立してしまうことがよくあるので、風通しを良くして相談しやすい環境を作りましょう。
まとめ
属人化はデメリットとリスクしかないと決めつけないで、メリットも把握した上で最適な対応ができることが肝心です。
専門的な業務は、標準化が難しく属人化した状態が必要なこともあります。
ですが、属人化はメリットよりもリスクのほうが大きい懸念があるため、対策を取り入れてリスクを解消しましょう。