ハラスメントをなくすには?ハラスメントのない職場にするためにはどうすればいいのか?
2023.05.05
ハラスメントとは、嫌がらせやいじめなどの迷惑行為をさす言葉です。
昨今はハラスメントの種類も多様化し、以前からよく耳にする「パワハラ」や「セクハラ」だけではなく、「マタハラ」「アルハラ」なども問題になっています。
2020年6月から、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)によって職場のパワーハラスメント防止措置が義務化されました。
中小企業に対しては、制度の施行から約2年間、パワーハラスメント防止措置は努力義務とされていました。
ですが、2022年4月以降は、中小企業でも義務化され、すべての企業での対策が必須になりました。
ついでではありますが、セクハラなどの防止対策強化は、企業規模問わず2020年より義務付けられています。
ハラスメントに対する糾弾は、年々厳しくなっており、SNSでの拡散等によって、ハラスメント発生時には、会社のイメージ棄損などの損害も大きくなる傾向があります。
こうしたリスクを最小限にするために、企業はハラスメント対策にきちんと取り組む必要があり、職場の環境改善が重要です。
今回は、ハラスメントをなくす職場づくりが重要な理由やハラスメントをなくす方法などを解説します。
なぜハラスメントをなくすための対策が必要なのか?
ハラスメントは、当事者だけの問題ではなく、企業にさまざまな悪影響を与えます。
なぜハラスメントをなくすための対策が必要なのかについて解説します。
パワハラ防止法の施行
2020年6月よりパワハラ防止法が施行されました。
これによって、企業に、職場でのハラスメント行為についての防止措置が義務付けられることになりました。
職場でのハラスメントを放置すると、企業は責任を問われることになります。
職場環境が悪くなる
ハラスメントが起こる職場は、従業員にとっていい環境とはいえません。
従業員の仕事への意欲が低下し、それによって生産性が下がる可能性があります。
従業員の休職や退職
ハラスメント被害者が、うつ病などの精神疾患病を発症し、休職や退職してしまうことがあります。
ハラスメント当事者でなくても、職場環境に耐えられなくなり、退職を選ぶ従業員も出てくるでしょう。
場合によっては、従業員の退職が連鎖して、深刻な人材不足に陥る恐れがあります。
従業員による法的手段
従業員からハラスメント被害の相談を受けていながら、適切な措置を講じなかった場合、従業員からハラスメントを理由とした損害賠償を請求される可能性があります。
社会的信用の低下
ハラスメントの対応が適切にされていないと、テレビやSNSなどで会社の悪評が拡散され、企業のイメージが低下する恐れがあります。
また、訴訟が起こされると、社会からの信頼が失墜し、株価の暴落や顧客離れなどにつながる可能性があります。
ハラスメントが起きてしまう原因とは?
ハラスメントをなくすには、原因を理解して予防する必要があります。
どのようなが原因があるのか見てみましょう。
コミュニケーション不足
職場内のコミュニケーションが取られていないと、業務が円滑に進まず、不満や誤解が生まれやすくなって、ハラスメントになってしまうことがあります。
管理職は、悪意がなくても、加害者になる危険性が高いといわれています。
ハラスメントをなくすには、日々、上司が部下の様子を気にかけて、話を聞くなどの気配りが必要でしょう。
ハラスメントに対する意識の違い
従業員の性格や価値観の違いによって、ハラスメントが起こると言われています。
職場では、年齢や育った環境などが違う生活をしてきた従業員が働いていますので、個人の主観で物事を判断すると、ハラスメントが生じてしまうことがあります。
また、ハラスメントに関する知識を持っていないと、その言動が問題だということに気づくことができないでしょう。
ハラスメントをなくすには、正しい知識を身に付けて、部下に周知していくことが大事です。
職場環境が悪い
ミスが許されない雰囲気だったり、仕事の量が多すぎると、ハラスメントが起きることがあります。
職場の雰囲気が悪いと、従業員がすぐに会社を辞めてしまい、人材不足によって新たなハラスメントが発生してしまうことがあるでしょう。
また、ハラスメントに対する対応や措置がなかったり、相談窓口が設置されていないなど、会社が必要な対策をしていない場合も、ハラスメントを引き起こしてしまいます。
ハラスメントをなくすには、企業として対策を講じることは必須です。
ハラスメントを防止するために必要な対策とは?
ハラスメントをなくすには、管理職が、ハラスメントに関する知識を正しく持ち、職場の状況を適切に把握し、ハラスメントはあってはいけないというメッセージを発信する必要があります。
では、どのような対策をすればいいのかについて、解説します。
ハラスメント対処方法のルールを決める
ハラスメント対策に取り組むためには、就業規則・労働協約・労使協定などでルールを明確化する必要があります。
パワハラを行なった者は、就業規則の懲戒規程に基づき、厳正に対処する旨を定めましょう。
社内アンケートや面談の実施
管理職が、従業員とコミュニケーションをとる機会を定期的に設けるといいでしょう。
従業員によっては、上司に直接相談しにくいこともありますので、アンケートを行うのも有効です。
相談窓口の設置
ハラスメント問題を相談できる窓口を設置することは、効果があります。
従業員が、気軽に相談できるように、プライバシーには、十分配慮するようにする必要があります。
従業員教育
経営陣がハラスメントのルールを定めても、従業員がどのような行動がパワハラなのかを知らなければ、予防はできません。
全従業員が、定期的にハラスメント防止教育を受講することが大切です。
中途入社従業員にも漏れがないように、入社後のガイダンス等で説明するなどの仕組みが必要でしょう。
管理職は、部下に対する指示命令を行ない、評価をする立場であるため、ハラスメントを起こしやすい立場でもありますので、ハラスメントに関するしっかりとした知識を持つ必要があります。
一方、管理職がハラスメントを恐れてしっかりした指導ができないと、組織は弱くなってしまいます。
そのため、管理職が、適切な指導とハラスメントの線引きができるように、管理職向けのハラスメント研修をする必要があるでしょう。
従業員に周知する
ハラスメントのルールは、作成して終わりでは意味がありません。
従業員に、ルールを周知し、理解してもらうことで、パワハラ防止に役立ちます。
パワハラ防止宣言の発信・作成方法には、以下のようなものがあります。
・経営陣が、ハラスメント取り組み方針を周知する
トップが自らメッセージを発信することで、自社におけるハラスメント対策の重要性や全社的な取り組みであることが伝わりやすくなります。
・説明会の実施
ハラスメントのルールや自社の取り組みを詳しく説明する。
人権の尊重やハラスメントで生じるデメリット、過去の事例などを紹介するのもいいでしょう。
・社内報の活用
社内報に、ハラスメント事例や経営陣のメッセージなどを記載するコーナーを設けることも周知につながります。
ハラスメントを起こさないマネジメントの工夫とは?
ハラスメントが起きにくい職場にするためには、毎日の小さな積み重ねが大事です。
上司は、部下に、メンタルの不調や人間関係のトラブルが発生していないか、気にかけましょう。
長時間労働の是正や有給休暇の完全消化など、部下がリフレッシュできる体制を整えることも必要です。
ストレス要因を減らすことは、管理職が取り組むハラスメント対策になります。
まとめ
ハラスメントをなくすには、経営陣や管理職が主導となって、従業員に周知・徹底し、従業員がハラスメントの問題を相談しやすい環境を整えておくことが大切です。
外部の会社を使って、管理職に対してセミナーを受講させるなど、ハラスメントの知識を身につけていく必要もあるでしょう。
多様な価値観や働き方を認めるためにも、社内の業務改善や意識改善など、さまざまな面から働きかけていくことが必要です。
効率よく研修を行い、ハラスメントに対する意識を向上させていきましょう。