コラム

社内環境を改善する必要性とは

2023.05.16

働き方改革とともに、社内環境改善が注目されています。

 

社内環境の整備は、従業員が長く働きやすい職場環境をつくる基盤になります。

 

社内環境に問題があると、生産性の低下や離職率の増加などにつながるので改善が必要です。

 

今回は、社内環境を改善する必要性について解説します。

 

 

社内環境とは?

社内環境とは、照明や空調などの室内環境、上司や事業所内の人間関係など、従業員を取り巻く環境を指します。

 

良好な社内環境は、職場にストレスがない、コミュニケーションが円滑、教育体制が整っている、福利厚生が充実しているなどの特徴があります。

 

快適な社内環境は、従業員の心身の健康にも繋がるため、経営者は、業務体制や労働時間、メンタルケア、待遇面などなど、現場で働く社員の声を聞きながら、社内環境を整備・改善していくことが大切です。

事業者に対して求められている快適な職場環境形成のための措置とは?

労働安全衛生法第3条においては、事業者に対して、快適な職場環境形成のための措置として4つの指針が示されています(同法第71条3項)。
 

 

1.作業環境の管理
空気環境、気温、湿度条件などの作業環境が不十分で不適切な場合、従業員の疲労やストレスを高めるため、業務に従事する従業員に適した状態に維持管理する。

2.作業方法の改善
不自然な姿勢での作業や大きな筋力を必要とする作業は、従業員の心身の負担が大きいため、負担が軽減されるよう作業方法の改善を図る。

3.心身の疲労の回復を図るための施設・設備の設置・整備
業務による疲労を速やかに回復できるよう、休憩室といった疲労を回復できる施設の設置や設備を図る。

4.その他の施設・設備の維持管理
洗面所、トイレなど従業員の職場生活において必要となる施設や設備は、清潔で使いやすい状態となるよう維持管理する。

 

2020年4月には健康増進法が改正され、大人数が利用する施設での喫煙が禁止され、企業の禁煙に向けた動きが増加しましたが、職場環境見直しの検討が必要となってきています。

 

社内環境改善が必要な職場とは?

働きにくい社内環境は、従業委員の健康面だけでなく、生産性や離職に影響を与えるため改善が必要です。

 

社内環境改善が必要な職場が、どんな職場なのかについて解説します。

従業員同士のコミュニケーション適切に取れているか

人間関係は、仕事の生産性に影響をあたえるため、上司や同僚とコミュニケーションが取れているか確認する必要があるでしょう。

 

チーム内で、報連相(報告・連絡・相談)ができていないと、仕事の進捗や情報共有が図られないので、業務効率が低下します。

仕事の負荷が偏ってないか

優秀な従業員など特定の従業員だけ、仕事量が多かったり、残業が多いと、その従業員のモチベーションが低下する可能性があります。

 

仕事の内容や量、労働時間など、一部の従業員に、仕事の負荷が偏っていないか確認する必要があります。

 

とはいっても、経験が少ない従業員に、責任のある仕事を任せたり、経験が豊富な従業員に、マニュアルワークをさせるのは、生産性の低下につながってしまいます。

 

仕事の偏りの原因を調べて、原因に合わせた対策をすることが大切です。

仕事への意欲が湧かない環境

従業員が、上司からの仕事の請負人になってしまって、自由に動けない環境では、仕事をやらされている感じが出てしまい、仕事への意欲がなくなってしまいます。

 

従業員の職務経験に応じて、意思決定に関わらせる場を設けたり、部下が自分で考えて動けるようにしたりするようにするなど、従業員が働きがいをもって取り組める環境を作ると、生産性の向上につながるでしょう。

オフィス環境や福利厚生制度の内容は充実しているか

温度や騒音など、集中して働ける社内環境を整えることも大切です。

 

スペックが低く動作が重いパソコンや座り心地の悪いいすを使っていると、ストレスになってしまうため、作業に使用する設備も重要です。

 

従業員が快適に働けるようにするために、オフィス環境や福利厚生などの制度を見直すことも必要でしょう。

 

社内環境改善の効果とは?

社内環境の改善は、企業の責務であるだけでなく、職場にさまざまなメリットをもたらします。

 

厚生労働省が発行している「これからはじめる職場環境改善〜スタートのための手引き〜」でも、「職場環境改善を行うことによって、仕事のストレス要因や健康状態が改善したり、あるいは生産性 が向上したりすることが国内外の多くの研究によって報告されています。」と書かれています。

 

では、社内環境を改善すると、どのような効果があるのか見ていきましょう。

ストレスの軽減

社内環境が改善されると、従業員が、仕事で感じているストレスを軽減させることが可能になります。

 

ストレスを感じながら仕事をすると、作業効率が低下したり、ミスが増えます。

 

また、心身の不調により、欠勤したり、離職に繋がる可能性も考えられます。

 

ストレスの軽減は、生産性向上や企業の業績にも関係するため、社内環境を改善しなければいけないでしょう。

コミュニケーションの活性化

会社の対人関係は、仕事上のストレスの原因の1つです。

 

社内環境を改善すると、上司や同僚とのコミュニケーションを活性化させることができます。

 

上司との面談や、相談窓口の導入、従業員が好きな席で作業できるフリーアドレスを導入するなど、お互いに声をかけやすくなることで、信頼関係の構築や価値観が共有しやすくなり風通しのいい雰囲気が作れます。

生産性の向上

社内環境を改善すると、従業員の精神的な充足度を満たすため、生産性の向上にも寄与します。

 

厚生労働省のパンフレットによると、職場環境改善のメリット(費用便益)を検討した研究で、職場環境改善の実施にかかる費用が1人当たり7,660円なのに対し、実施の結果生産性が向上して得られる利益が1人当たり15,200円と、費用便益が約2倍と見積もられています。

 

職場環境改善の取り組みによって、従業員のパフォーマンスや生産性が高まり、会社の利益向上につながるでしょう。

社内環境の改善方法とは?

社内環境の改善するには、どのような方法で取り組んでいけばいいのかについて解説します。

メンタルヘルスケアの導入

国は、労働者の安全と健康を守る上で、従業員のメンタルヘルス対策へ取り組むよう推進しています。

 

従業員が、心身健やかな状態であると、生産性が向上します。

 

メンタルヘルスケアについては、セルフケア・ラインによるケア・事業場内産業保健スタッフ等によるケア・事業場外資源によるケアの4つのケアを行うことが重要です。

働きやすい職場にする

照明・冷暖房の整備だけでなく、観葉植物を取り入れたりと、従業員がリラックスできる環境を作ることで、ウェルビーイング(肉体的・精神的・社会的に幸福で、満たされた状態)を高めることができます。

 

また、フリーアドレスを導入するなど、コミュニケーションをとりやすくなる環境を整えることも、1つの方法でしょう。

ツールの導入

ICTツールを導入して、業務効率や生産性の向上を上げるのもいいでしょう。

 

ICTツールには、以下のものが挙げられます。

 

・ビジネスチャット

例えばmMicrosoft Teamsは、気軽にコミュニケーションが取れるため、従業員同士のコミュニケーション活性化に役立ちます。

タスク管理やデータ共有といった機能も豊富にあります。

 

・Web会議システム

インターネット経由で音声と画像を共有できるシステムで、オンライン上で、従業員同士が相手を見ながらコミュニケーションを取ることができます。

現場の従業員の声を聞く

国は雇用政策にあたり企業に対し、『経営においては「従業員満足度」と「顧客満足度」の両方を重視するのが重要』と示しています。

 

社内環境を改善するためには、現場で働く社員の声を聞くことは、非常に重要です。

 

国も企業に対して、従業員満足度と顧客満足度の両方を重視するのが重要であるとの指針を出しています。

 

従業員が本音を書きやすくするために、匿名形式のアンケートを取るといいでしょう。

 

まとめ

従業員が気持ちよく健康に働けるような社内環境があると、業務効率の向上や離職率の低下といった成果を得られることができます。

 

社内環境を改善するために、限られた時間やコストの中で、少しでも良い社内環境にできるように取り組めるところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

社内環境の改善は、企業と従業員双方にメリットがあるため、自社の課題を把握し、改善をすることで、より良い職場づくりを目指しましょう。

一覧を見る